内容紹介
オオカミ、キンイロジャッカル、ヨーロッパヤマネコ、テン、ヒグマ、アナグマ、キツネ等、東欧と日本の食肉目動物の幅広い魅力と様々な研究成果を知ることができる一冊。
ヨーロッパとアジアの生態系の接点であるブルガリアを中心に、ブルガリアと日本の研究者たちの10年以上にわたる共同研究の成果を紹介。
各部末尾には「ちょっと知りたいコラム」と題し関連の深い12編のエピソードを収録している。
目次
カラーグラビア
食肉目とは何か?その魅力って/ジャッカル オオカミに似ているけど/ネコ科の仲間たち/失われた仲間食肉目/ブルガリアの生物多様性/自動撮影カメラが捉えたブルガリアの哺乳類の多様性/食肉目の生息環境/ブルガリアの伝統的な街並みと村落
はじめに
第I部 フィールドからの多様な世界
序章 東欧の生物と自然の多様性(増田隆一)
1章 ポーランド,ブルガリアの食肉目動物(角田裕志)
2章 ジャッカルの分布拡大と人間社会との関係(角田裕志)
3章 ヨーロッパヤマネコの毛色と食性(金子弥生・角田裕志・山口誠之)
4章 テンの食性と多様性(久野真純)
5章 ブルガリアの食肉目動物における種の多様性と保護(Stanislava Peeva, Evgeniy Raichev(翻訳 金子弥生・増田隆一))
ちょっと知りたいコラム
01:ジャッカルという動物,その起源,人とのかかわり(角田裕志)
02:食肉目のそれぞれの鳴き声(角田裕志,金子弥生)
03:どうやって糞を発見し,なんの動物の糞かを判断するの?(天池庸介,久野真純)
04:食性分析の方法(久野真純)
第II部 研究室からの多様な世界
6章 アナグマのにおい物質と行動(金子弥生)
7章 糞から明らかになるキツネの生態(天池庸介)
8章 食肉目と免疫系遺伝子の多様性(西田義憲)
9章 食肉類に寄生する条虫の巧妙な生活環(中尾 稔)
ちょっと知りたいコラム
05:においってどう採取するのか?どうやって分析する?(金子弥生)
06:“糞ってなに?”どうやって分析 どんな機器を使うの?(天池庸介)
07:MHCって?どうやって分析(西田義憲)
08:寄生虫に名前をつける(中尾稔)
第III部 文化からの多様な世界
10章 ブルガリアの狩猟文化と動物の文化的利用(Stanislava Peeva, Evgeniy Raichev(翻訳 金子弥生・増田隆一))
11章 ヨーロッパと日本のヒグマとクマ文化(増田隆一)
12章 ブルガリアの家畜(増田隆一)
13章 ブルガリアにおける研究留学(久野真純)
終章 EU地域の生物多様性保全政策と食肉目動物の将来(金子弥生)
ちょっと知りたいコラム
09:トラキア文化(増田隆一)
10:バルカン半島の自然地形歴史(角田裕志)
11:ブルガリアの学生とのかかわり(久野真純)
12:なぜ研究者になろうと思ったのか?何が楽しいのか?(全執筆者)
おわりに
英文要旨
執筆者
著者紹介
増田 隆一(ますだ・りゅういち)…編者のひとり.北海道大学大学院理学研究院 教授
1960年岐阜県生まれ.北海道大学大学院理学研究科博士後期課程修了,理学博士.アメリカ国立がん研究所(NCI)研究員等を経て現職.専門は,分子系統進化学,動物地理学.2019年日本動物学会賞,日本哺乳類学会賞受賞.
金子 弥生(かねこ・やよい)…編者のひとり.東京農工大学大学院農学研究院 准教授
東京農工大学大学院連合農学研究科満期退学,博士(農学).その後,国土交通省やオックスフォード大学野生生物保護研究ユニット(WildCRU)などを経て,2009年より現職.食肉目動物保護学研究室を主宰している(http://www.carnecco.jp/).専門は,動物生態学,野生動物保護管理学.アナグマをはじめとするイタチ科動物の基礎生態と保護,都市域における保全に関する研究に取り組む.
〔他執筆者〕
山口 誠之(やまぐち・のぶゆき)…マレーシア テレンガヌ大学 准教授
角田 裕志(つのだ・ひろし)…埼玉県環境科学国際センター 専門研究員
中尾 稔(なかお・みのる)…旭川医科大学 元准教授
西田 義憲(にした・よしのり)…北海道大学大学院理学研究院 研究院研究員
久野 真純(ひさの・ますみ)…日本学術振興会 特別研究員(受入機関:東京大学)
天池 庸介(あまいけ・ようすけ)…北海道大学大学院理学研究院 研究院研究員
Stanislava PEEVA(スタニスラバ・ピーバ)…トラキア大学農学部 准教授
Evgeniy RAICHEV(エヴジェニ・ライチェフ)…トラキア大学農学部 教授
上記内容は刊行当時のものです。