内容紹介
この国はユートピアか、究極のディストピアか。
北海道新聞文学賞受賞作家が、閉塞を深める今の世に問う渾身の長篇小説。
清潔にとりすました社会が隠蔽する限りない闇。汚れた仕事を押しつけられ周縁に排除される人々。
近未来のこの国は私たちの国の合わせ鏡である。
「至福の死」に抗う老人・結城紘一郎は、脳内空間の向こうになにを求めたのか……。
政府による「高齢期リスク・チェック」により、5年以内に「人生の成就」プランを受けるよう勧告された便利屋の結城紘一郎。利用者に「至福の死」をもたらすこの政策を拒絶する紘一郎のもとに、プランを提供する企業の社員、楢本千晶が家族からの依頼を受けて説得に訪れた。
この出会いがやがて、互いの人生を大きく揺り動かすことになる……。
著者紹介
澤田展人(さわだ・のぶひと)…1954年札幌生まれ。
東京大学文学部宗教学・宗教史学科卒業。民間企業を経て、北海道内で教員として高校に勤務。
三十代から創作を始め、現在、個人文芸誌『逍遙通信』発行人。2018年11月、『ンブフルの丘』で第52回北海道新聞文学賞受賞。2019年、北海道新聞社より発刊。
他の著書に『魂の歌手』(2009年 共同文化社)がある。
上記内容は刊行当時のものです。