内容紹介
白装束、位牌、四花…
かつては遺族らが長い葬列を組んで亡骸を野末に葬る〈野辺送り〉の風習があった。
葬儀の在り方が大きく変化する今、時の文学や政策などから日本人の葬送の変遷を読み解き、太古から現代の葬送を改めて考察し、後世への記録とした一冊。
『馬のいた風景』『われ壇上に獅子吼する』に続き、〈消えゆくもの〉を主題とした三編の完結作。
北海道・江別市に生まれ育った著者の父祖の北海道移住の軌跡を辿る過程や、一族の墳墓の地となった江別での葬送の実際、北海道の葬送の歴史的な側面や葬送の場で度々語られる地域性のほか、北方領土墓参、戦争や自然災害での不慮の死による埋葬など、移ろい変わりゆく葬送の様を冷静な筆致で書き記した。
目次
口絵
はしがき
第一章 文学等にみる野辺送り
第一節 童話「ごん狐」
第二節 小説「野辺送り」
第三節 戦後開拓ルポ「黄色い川」
第四節 小説「楢山節考」
第五節 映画「NORIN TEN 稲塚権次郎物語」
第二章 墓地と火葬場の歴史
第一節 日本における葬送の歴史
第二節 北海道における葬送
第三節 江別市の墓地と火葬場
第四節 失われた二つの墓地
第三章 父祖の歩んだ歴史
第一節 門伝七ツ松
第二節 ルーツをたずねて
第三節 北海道移住
第四節 墳墓の地・江別
第四章 戦争と自然災害
第一節 北方領土の墓参
第二節 戦没者の遺骨収集
第三節 強制労働犠牲者の遺骨発掘
第四節 東日本大震災での仮埋葬
第五章 かすむ野辺送りの風景
第一節 無縁墓と合同墓
第二節 消えゆく土葬
第三節 葬送の行方
あとがき
写真・図表一覧
巻末資料
参考文献
著者紹介
齊藤俊彦(さいとう・としひこ)…1958(昭和33)年北海道江別市生まれ。
1982年北海道大学文学部史学科卒業、江別市に奉職。
1992年に総務部市史編さん担当となり、95年まで「えべつ昭和史」編さん事業に従事する。2014年同市教育委員会教育部長、16年に総務部長に就任。
2018年に江別市を定年退職。同年、株式会社江別振興公社代表取締役社長に就任、現在に至る。
著書に『家系譜・七ッ松利三郎』(私家版、1989年)、『馬のいた風景』(中西出版、2012年)、『われ壇上に獅子吼する』(中西出版、2017年)、『江別振興公社創立50周年記念誌 年輪かさねて50年』(株式会社江別振興公社、2020年)がある。
上記内容は刊行当時のものです。