内容紹介
優しさと清潔さを信条に、国会議員、自治大臣、知事として日本のため、北海道のために献身した町村金五。
明治、大正、昭和、平成の4代を生きた町村92年の生涯を辿れば、北海道の20世紀が鮮やかに甦る。
※巻末に町村金五年譜付き。
目次
プロローグ 町村金五の二〇世紀
第一章 二・二六事件に遭遇 ―鈴木侍従長、岡田首相を救う
一 鈴木侍従長官邸/二 総理大臣官邸/三 斎藤実内大臣私邸
四 渡辺錠太郎教育総監私邸/五 高橋是清大蔵大臣私邸
六 牧野伸顕前内大臣別邸/七 陸相官邸、警視庁、朝日新聞
八 決起趣意書と陸軍大臣要望事項/九 陸軍省公式発表第一号
十 東京警備司令部第一報/十一 天皇の怒り
十二 帝都に戒厳令/十三 討伐命令/十四 東京陸軍軍法会議
十五 死刑判決と処刑/十六 戦争体制への道
第二章 幼少時代 ―父金弥は札幌農学校二期生
一 金弥は坪内逍遙と英語を学ぶ/二 キリスト教入信を拒否
三 エドウィン・ダンと共に/四 畜産・酪農指導者として
五 腕白少年/六 日露戦争の記憶
七 日露戦争と北海道/八 殉死で神格化
九 勝って兜の緒をしめよ/十 バナナの思い出
第三章 小学校入学 ―「どんぐりころころ」
一 中央創成小学校/二 「都ぞ弥生」
三 クラークの教えとノーベル賞/四 へき地の子供と先生
第四章 赤レンガの縁 ―祖父が煉瓦づくりを指導
一 母は昔気質の賢夫人/二 赤レンガ庁舎
三 「知事さんになりなさい」
第五章 高千穂小学校時代 ―東條家との縁も
一 英仏露の国歌を習う/二 大逆事件
三 韓国併合/四 明治から大正へ
第六章 中学校時代 ―開成中学校で鍛える
一 受験より鍛練/二 羆、大正デモクラシー/三 鉄拳制裁
第七章 高等学校時代 ―仙台二高で土井晩翠に学ぶ
一 米騒動に怒り/二 土井晩翠の子弟愛/三 旧制高校の姿
四 仙台二高寮生の青春/五 第一次世界大戦とスペイン風邪
第八章 大学時代 ―東京帝大法学部政治学科
一 大正一〇年という年/二 牧野英一法学部教授の講義に感銘
三 町村牧場/四 高文試験、関東大震災
第九章 青森県時代 ―勤労青少年のため夜学校を開設
一 ひと月に知事三人交代/二 鰊漁場の労働条件改善
三 治安維持法と小林多喜二
四 青森法学院開校―遠友夜学校がモデル
第十章 静岡時代 ―保安、商工、水産課長、結婚
一 青森から静岡に転出/二 大正天皇崩御
三 独身よサヨウナラ/四 初の普通選挙による総選挙
五 静岡県商工課長兼水産課長/六 大学は出たけれど
第十一章 宮内省時代 ―戦争とファシズム
一 男子の本懐/二 「酒は涙か溜息か」
三 血盟団事件、五・一五事件/四 皇太子誕生
五 帝人事件/六 天皇機関説
第十二章 岐阜・三重県時代 ―戦時体制、「海ゆかば」
一 警廃部長のあだ名/二 軍部大臣現役武官制復活
三 三重県大演習の中止/四 国家総動員法公布
第十三章 警務・人事課長時代 ―警防体制・地方長官人事に苦心
一 警保局警務課長に就任/二 大臣官房人事課長として
三 紀元二千六百年
第十四章 富山県知事時代 ―太平洋戦争に突入
一 招かざる知事/二 立山おろし/三 辛かった物資の統制
四 開戦決定/五 戦局の転機
第十五章 警保局長時代 ―東條英機首相命令を跳ね返す
一 アッツ玉砕、「武人の名を汚すべきにあらず」
二 警保局長任命に軍が反対/三 東條首相ついに退陣
四 新潟県知事に就任/五 書記官長就任を打診される
第十六章 警視総監時代 ―鈴木内閣を支えて
一 皇居炎上/二 戦災者を北海道開拓に/三 ポツダム宣言
四 広島原爆/五 ソ連参戦、長崎原爆/六 第一回御前会議
七 第二回御前会議/八 クーデター阻止、陸相自決
九 玉音放送、総辞職/十 八月一五日後のソ連軍侵攻
十一 「異国の丘」
第十七章 公職追放時代 ―東京都次長を最後に
一 矢継ぎ早のマッカーサー命令/二 「人間宣言」
三 田中敏文・道知事誕生/四 私的育英資金「葡萄の会」
五 鉄のカーテン/六 はとバス初代社長
七 貧乏人は麦を食え/八 追放解除
第十八章 代議士時代 ―福竜丸、洞爺丸事件
一 抜き打ち解散/二 バカヤロー解散/三 文教委員として
四 造船疑獄/五 「み魂よ眠りませ」
六 青函トンネル建設へ/七 町村三選される
八 「もはや戦後ではない」/九 北の挽歌
十 「喜びも悲しみも」/十一 ミッチーブーム
第十九章 北海道知事時代 ―道路整備と「三無解消」
一 知事選出馬決意/二 選挙公約/三 報復人事は噂のみ
四 六〇年安保と北海道/五 減税と農家負債整理
六 災害北海道/七 青函トンネル着工と知事再選
八 ケネディ暗殺/九 東京五輪と北海道大冷害
十 米北ベトナム爆撃開始/十一 三年連続冷害
十二 風雪百年、知事三選/十三 北海道百年祝典
十四 初の心臓移植/十五 苫小牧東部開発
十六 オイルショックと計画の変更/十七 月面着陸
十八 知事から参議院へ
第二十章 参議院議員時代 ―自治大臣・開発庁長官に就任
一 新聞社会長を引き受ける/二 日の丸三本/三 大臣就任
四 金権政治に批判/五 戦後最大の倒産/六 ロッキード事件
七 参議院再選、予算委員長に就任/八 札幌時計台一〇〇年
九 自民党参院議員会長就任/十 町村信孝が衆院出馬
十一 革新系知事復活/十二 美味しい道産米づくり
十三 町村引退/十四 昭和天皇崩御
終章 言い残した事 ―二葉夫人への感謝の言葉も
一 明治、大正、昭和、平成の四代を生きて
二 バブル景気と不良債権/三 拓銀破綻
四 町村信孝夫人淳子の回想
町村金五 年譜
参考文献
あとがき 町村金五さんの足跡をたどって
著者紹介
若林滋(わかばやし・しげる)…ノンフィクション作家。
1934年北海道剣淵町生まれ。士別高校、東北大卒。読売新聞社入社後、浜松支局長、東京本社編集局地方部長、読売日本テレビ文化センター事務局長等を経て、(株)読売日本テレビ文化センター常務、読売サービス社長を歴任。
現在、日本エッセイストクラブ会員、北海道屯田倶楽部常任理事。北海道の近・現代史を研究し関連著書を出版。
主な著書に「北の礎」「屯田学校」「昭和天皇の親代わり」「流刑地哭く」「箱館戦争再考」(いずれも中西出版)などがある。
上記内容は刊行当時のものです。