玉山 和夫 著
定価:¥3,636+税
ISBN978-4-89115-376-2  C0033
A5判/391頁/並製
[2020年4月刊行]

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概 要

金融・経済・証券投資について知りたいすべての人に。

前著『新・金融経済と証券投資』を大幅に加筆・修正・再編集。
入門から応用までを網羅する実用書。

金融と証券市場は経済の血液です。
この本では、実際の経済活動と金融市場の関係が具体的にわかるように、
金融史や現実の経済問題にも言及しながら、なるべく日常的な言葉で解説しています。

新聞の経済面・金融面・株式面は、ほぼ読めるようになるはずです。
そうすれば出来事がどう自分の生活に影響を与えるのか、より正しく理解できます。
金融面での不利益を回避し、できれば有利な方法を選択できるようになるでしょう。
投資を考えるのであれば、より賢い投資家になれるでしょう。

目 次

第1部 貨幣、金利、為替

第1章 貨幣とは何でしょうか
おかねの不思議を眺めましょう
1.昔のおかね
2.おかねの不思議 信じれば何でもお金
3.希望とお金

第2章 なぜ金融を学ぶの?
金融の位置づけ
1.なぜ金融を学ぶの?
2.家計金融資産 直接金融と間接金融
コラム 住宅ローン 元利均等返済と元金均等返済

第3章 信用創造
銀行はおかねを創ることができます
1.銀行は無から有を生みます
2.ゴールドスミスの原理
3.現代の信用創造
4.ハイ・パワード・マネーとマネー・マーケット
5.なぜ銀行は預金集めをするのでしょうか
6.経済の心臓:インターバンク市場(マネー・マーケット)
7.システミック・リスク
8.マネー・ストック
9.一般的なテキストが説明する信用創造メカニズム

第4章 金利とは何でしょうか
複利で泣かないために
1.金利とはなんでしょうか
2.金利と割引率
3.割引率にはリスクも含まれます
4.複利と単利

第5章 債券とはどんなものでしょうか
国債を中心に
1.債券とはどんなものでしょうか
2.日本国債

第6章 債券投資の心得
実は投資の基礎知識
1.ホントは価格変動リスクが高い債券投資
2.債券投資に関わる基本用語
3.債券価格の計算
4.インフレによる債券価値の低下リスク
コラム 等比数列の和
コラム 数式による永久債の現在価値計算
コラム 最終利回りの計算
コラム 日本式債券利回り
コラム デュレーションの計算
コラム 正味現在価値(NPV)と内部収益率(IRR)

第7章 為替レートと国際投資
1ドル80円はなぜ1ドル100円より円高と言うの?
1.1ドル80円は1ドル100円より円高
2.貿易収支(≒経常収支)と為替レート
3.購買力平価説
4.おかねの量と為替レート
5.円高は輸出に不利
6.固定為替相場ってなに?

第8章 経済政策とお金
お金の力と限界を知りましょう
1.金融政策と財政政策 IS-LMモデル
2.開放経済でのIS-LMモデル マンデル・フレミング・モデル
3.金利は誰が決めるのか 公開市場操作と長短金利
コラム IS曲線とLM曲線の形状

第2部 株式投資の理論

第9章 株式会社と株式市場
株とバクチは違います
1.株とバクチは違います
2.あらためて株式とは
3.証券会社の役割
4.発行市場と流通市場
5.株式持ち合い
6.証券取引所と証券会社
コラム 株式会社、証券会社、証券取引所の誕生

第10章 企業の数字を知りましょう
バランス・シートはバランスします
1.企業分析の基本 バランス・シート
2.バランス・シートから損益計算書(PL)へ
3.バランス・シートから見た企業の利益
4.家計のバランス・シート
コラム 車の購入代金 負債元本の返済
コラム バランス・シートの基本構造と財務の安定性
コラム 損益分岐点

第11章 株価純資産倍率(PBR)配当利回り
株価評価の基本の基本
1.PBR
2.配当利回り(DY)
3.日米利回り比較
コラム 株式分割による株価修正と日経平均株価
コラム 無形資産とPBR

第12章 株価収益率(PER)
会社の利益は全て株主のもの
1.益利回りと株価収益率(PER)
2.益利回りと国債利回りの比較:イールド・レシオ

第13章 自己資本利益率(ROE)
株主の最重要経営指標
1.改めて「株式会社は株主のものです。」
2.経営分析書でのROEの計算
コラム ROEとデュポン・フォーミュラ

第14章 配当割引モデル
20年後も存在する会社の今は?
1.配当割引モデル(Dividend Discount Model:DDM)
コラム DDMを数式で導き出しましょう

第15章 資本資産価格モデル(CAPM)
市場全体の動きに勝つには?
1.Capital Asset Pricing Model(CAPM):資本資産価格モデル
コラム 加重平均資本コスト(WACC)とモデリアーニ・ミラー(MM)理論

第16章 投資のリスクって何でしょうか?
リスク軽減 ポートフォリオという考え方
1.市場リスクって何でしょうか?
2.リスク分散
コラム 価格変化率のバラツキ 標準偏差
コラム ポートフォリオとパフォーマンス
コラム アセット・アロケーションとリターン

第17章 シャープ・レシオ
リスクに見合う成果を
1.シャープ・レシオ
2.シャープ・レシオの水準
コラム 有効フロンティア(効率的フロンティア)

第18章 株価上昇の要件
1.ゴードン-シャピロ・モデル
2.ROE向上の要因―売上高純利益率
3.利益率改善の要件

第3部 投資市場

第19章 世界の金融資本市場の規模
大きいことは良いこと?

第20章 産業構造と株式市場
以前から低かった電気機器産業の投資成果

第21章 株価変動率
ゆっくり上がって、ズドンと下がる 株価の真実
1.「想定外とは言わせない」とても高い激変確率
2.ゆっくり上がって、ズドンと下がる
3.過熱相場の終焉シグナル
4.株価変動の季節性

第22章 長期投資は株式投資
なんでもそうとは限りませんが

第23章 資源・国際商品相場と株価
1.資源相場の30年サイクル
2.資源相場と株価
3.原油価格と金(ゴールド)価格
4.資源を買うより資源株

第24章 デリバティブ 金融派生商品
いつも悪者にされますが…
1.デリバティブとは
2.先物取引
3.オプション
4.投資家がデリバティブを用いる目的は何でしょうか?
5.デリバティブ市場規模
コラム ヘッジ・ファンド
コラム 個人にお勧め 個人向け国債の仕組み
コラム 先物の理論価格
コラム オプション価格理論

第25章 年金
1.公的年金
2.企業年金

第26章 投資信託
1.考え方と基本的な仕組み
2.管理体制
3.証券会社の役割
4.投資信託の投資成果
5.私募投信の運用
6.会社型投信とREIT
7.投信の国際比較

第4部 国際金融市場の仕組みと戦後の歩み

第27章 国際収支とISバランス
お金に国境はある?
1.国際収支とISバランス
2.国際収支表
3.まとめ
コラム 身近な感覚で知るISバランスと貿易収支
コラム 三面等価

第28章 お金の本質と金本位制
1.お金の本質
2.金本位制時代の相対金価格
3.金相場上昇=金本位制へのシグナル、ではありません。

第29章 ブレトン・ウッズ体制
戦後国際金融のスタート・ライン
1.アメリカ中心の金為替本位制:IMF体制
2.特別引出権(SDR:Special Drawing Right)
3.世界銀行(World Bank)

第30章 ニクソン・ショックからオイル・ショックへ
ゴールドの縛りから解放された世界経済
1.ニクソン・ショック
2.金の制約から解放された流動性の拡大
3.オイル・ショック

第31章 レーガノミックスからプラザ合意へ
世界最大の純債務国となったアメリカ
1.レーガン大統領の経済政策
2.プラザ合意

第32章 日本の失われた20年
1.「未成熟債権国」論への反撃としてのプラザ合意
2.プラザ合意への日本の対応
3.バブル崩壊後
4.株式市場
5.バブル処理
6.失われた10年を超えて
7.家計のバランス・シート
8.日本の土地神話は崩壊したのか?

第33章 アジア通貨危機
IMFは敵か味方か
1.時代は経常収支危機から資本収支危機へ
2.マハティール首相の怒り
3.IMFは敵か味方か
4.なぜアジア諸国は固定相場に固執したのでしょうか?
5.危機からの復活
6.スハルト独裁の終焉
7.立ちあがる人々

第34章 サブ・プライム・ローン問題からリーマン・ショックへ
1.サブ・プライム・ローンとは何でしょうか
2.サブ・プライム・ローンの仕組み
3.証券化と優先劣後構造
4.クレジット・デフォルト・スワップ:CDS
5.信用格付け、モノライン
6.大手銀行の苦境
7.大手銀行からの資金流出パターン=銀行破綻の直接的要因
8.アメリカの住宅価格と住宅ローン
9.危機の損失総額
10.当局の危機対応
11.政府系ファンドの動向
12.バーゼル委員会の対応
コラム 優先劣後構造によるリスク負担
コラム ノンリコース融資

第35章 欧州金融危機
新たなる南北問題
1.欧州の統合
2.通貨統合の現状
3.ギリシャ危機
4.アイルランド危機
5.イタリア危機 債務不履行危機と流動性危機
6.欧州金融危機がもたらす銀行損失の推計
7.欧州金融危機の基礎数字
8.スペイン不動産バブルの崩壊
9.欧州銀行の特徴
コラム ヨーロッパ統合を唱えた日本人の血

第36章 バーセル委員会による銀行自己資本比率規制
1.バーゼルⅠ
2.バーゼルⅡ
3.バーゼルⅢ
4.証券化商品のリスク・ウェイト
5.銀行勘定の金利リスクとソブリン・リスク
6.新たな銀行規制
コラム VaR(バリュー・アト・リスク)とES(期待ショートフォール)
コラム 国際決済銀行 BIS(Bank for International Settlements)とバーゼル委員会

第37章 暗号資産
貨幣らしさの検証方法

参考文献
索引

本文より

 本書の中で度々述べるように、金融証券市場でのお金の流れは経済活動の死命を制しています。まさしく金融と証券市場は「経済の血液」なのです。そのことを、書名にはっきり示して、前著『金融経済と証券投資』およびその改訂版である『新・金融経済と証券投資』を大幅に加筆・修正・再編集して出版することにいたしました。

 主な変更・追加点は以下のような部分です。
 ① 第1部から第4部までの名称を、より具体的な内容がわかるようにしました。例えば、第1部は「貨幣・金利・為替」として、株式の話に入る前に理解しておいた方が良い金融知識の解説をまとめました。この際、以前は第2部第17章にあった「債券投資の心得」を第1部第6章に持ってきました。一方、「株式とはどんなものでしょう?」は第2部の第9章「株式会社と株式市場」に統合しました。
 ② 第2部「株式投資の理論」では、いくつかの章にまたがっていた説明を統合しました。また、PBR、PER、ROEなどのアメリカとの比較は、以前別の章で行っていたのですが、これも統合しました。
 ③ 新たな章を設けて、最近の動向を説明しています。一つは第2部第18章「株価上昇の要件」。ここでは、日本の株式市場および企業の問題点を整理・分析しました。もう一つは、第4部第37章「暗号資産」です。かつて仮想通貨と呼ばれていた暗号資産は、少なくとも現状では通貨ではないと結論しています。
 ④ 本文内の説明も少し修正した部分があります。新たにコラムを設けて、コーポレート・ファイナンスや、財務分析に関わる説明も増やしました。
 ⑤ 図表は出来る限りアップ・デートしました。

 冒頭で申し上げ書名にも示したように、金融証券市場は経済の血液です。この本では、実際の経済活動と金融市場の関係が具体的にわかるように、金融史や現実の経済問題にも言及しながら、解説していきます。
 この本は4部構成になっています。
 第1部では金融の一般的な知識について解説します。
 ここでは新聞の経済・金融について、基本的な事柄がある程度理解できるようになることを目指します。
 第2部で、株価の評価尺度を中心に学びます。新聞の証券面がより身近になるはずです。
 第3部で、証券市場について展開的な説明を加えます。
 デリバティブについても、日常の事柄との関係などを通して分かり易く説明します。
 第4部では、国際金融・国際経済上の主な出来事の背景を知ることで、金融・証券市場は自ずからグローバルな仕組みであることを理解していただきます。
 こうした内容をなるべく日常的な言葉を使って解説します。もうちょっと専門的なレベルまで知りたい人のためには、各章末にコラムを用意しました。数式を使った解説などもここをご覧ください。
 この本の刊行に際しては、前著に続き地元の中西出版・中西印刷のお手を煩わせました。同社の河西博嗣さん、有難うございました。

玉山 和夫

プロフィール

玉山和夫(たまやま・かずお)
1953年、北海道美唄市生まれ。
1972年、函館ラ・サール高校卒業。
1976年、一橋大学経済学部卒業後、日立電線(株)入社。海外事業部、中東プロジェクト担当。
1981年、野村総合研究所入所。野村證券(株)海外投資顧問室(外人向け調査部門)勤務、調査業務。82年野村(中東)投資銀行(バーレーン)勤務。84年野村證券海外投資顧問室勤務、投資戦略部門。86年野村證券金融法人部勤務、対金融機関証券営業。
1987年、安田火災海上保険(株)入社、有価証券部第二課副長。91年日米合弁の安田火災ブリンソン投資顧問(株)、取締役運用第二部長。
1995年、パリバ投資顧問(株)(フランス、パリバ銀行の資産運用日本法人)運用本部長。Paribas Asset Managementパリ本社の日本株式責任者、投資委員会委員。
1997年、札幌国際大学人文・社会学部教授。
2005年、北海道情報大学経営情報学部教授。
2009年、札幌学院大学経営学部教授。現在に至る。
著書に「投資戦略の基礎」(東洋経済新報社)、「10分でわかる 暮らしの経済」(FMノースウェーブ)、「日米バブルの金融論」「株式投資事始め」「金融経済と証券投資」「新・金融経済と証券投資」(いずれも中西出版)がある。
1991年から1997年まで、日経ビジネス誌コラムニスト。

上記内容は本書刊行時のものです。