織田 憲嗣 著
定価:¥4,000+税
ISBN978-4-89115-368-7  C3472
A4変形判/162頁(上製)
[2019年9月刊行]

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概 要

デザインの国デンマークを代表する家具デザイナー、フィン・ユール。
それまで主流であった機能的でシンプルなデザインとは一線を画し、三次元曲面を活かした優美なフレームを特徴としたその作品は、近年、改めて高く評価されている。

本書では、椅子研究家・織田憲嗣氏が収集した貴重なコレクションの中から椅子や日用品122点を、写真家・塚田直寛氏の洗練された世界観で撮影。
巻末には北欧デザイン史やフィン・ユール論などのほか、デザイナーでイラストレーターでもある著者のペン画による作品リスト、年譜を収録。データ関係も充実した一冊となっている。

目 次

まえがき

作品

近代デザイン史と北欧デザイン
北欧デザイン史
フィン・ユールの生涯と家具デザインについて
フィン・ユール 建築と家具が一体になって生まれる世界1989
フィン・ユールの作品論
なぜフィン・ユールなのか?
ニールス・ヴォッダー工房を知る スネーカーへのインタビュー取材2012

作品リスト
フィン・ユールとエドガー・カウフマンJr.に関する年譜
あとがき

本文より

あとがき

(前略)
 私は常々、椅子こそは最も人間的な道具であると思っている。その証として、椅子の各部の名称は人体のものと同じであるし、椅子のデザインは他のどんな種類の家具よりも、それをデザインした人の人間性や個性が滲み出るものではないかと思う。彼の生まれ育った環境や、日常の生活から紡ぎ出される美しい造形や色の組み合わせは遊びごころが加わり、華のあるデザインを生み出すことに繋がっていったように思える。他の多くのデンマーク家具のデザイナーと異なり、家具職人としての技術や知識を有していなかったことが逆に自由な発想のオリジナリティのある家具デザインを生み出したのであろう。

 1984年の取材以降、交流は続き、椅子修復のアドバイスをしていただいたこともあった。(中略)1989年、彼に会うために友人5人とデンマークを訪れた5月17日、午後12時30分、入国手続きを完了し、現地時間に時計を合わせたが、その時刻が彼の亡くなった時刻であった。その夜、アポイントの電話でその訃報を知ることとなった。彼の死があと1週間早くても、遅くても、彼との関わりがこんなにも深く感じられることはなかったのではないだろうか。77歳で亡くなられたフィン・ユールさん、偶然ではあるが私の誕生日は7月7日である。デンマークからの帰国後、友人達とフィン・ユール追悼展を企画、1年後の命日に展覧会を開催することにしたのである。

(中略)大阪を皮切りに京都、名古屋、東京、旭川の5会場を巡る追悼展は、その企画段階からデンマークでも話題となり、一足早い2月16日から3月8日まで、コペンハーゲン市庁舎のそば、ポリチケン新聞社の1階ロビーにて開催された。
 これら2つの展覧会がフィン・ユールさんに対する再評価に繋がったのではないだろうか。(中略)1998年、ハンナ夫人からの依頼でワンコレクション社がモデルNo.57のソファを制作することになった。フィン・ユール作品をひとりでも多くの方達に使っていただければと思う。ヴィンテージの高額な作品から、使えるフィン・ユール作品へと、より身近なものとなって欲しいものである。(後略)

東海大学名誉教授、東川町文化芸術コーディネーター
織田憲嗣

プロフィール

織田 憲嗣(おだ・のりつぐ)
1946年、高知県生まれ。大阪芸術大学卒業。高島屋大阪支店宣伝部勤務の後、フリーランスのグラフィックデザイナー、イラストレーターとなる。1994年から北海道東海大学芸術工学部教授。北方生活研究所所長を勤めた後、特任教授。2015年東海大学名誉教授。同年から東川町文化芸術コーディネーター。これまでに広告に関する26の受賞。1997年デンマーク家具賞受賞、2012年デンマーク/フィン・ユール協会名誉理事、2015年第1回ハンス・ウェグナー賞受賞。
著書に『ハンス・ウェグナーの椅子100』『デンマークの椅子』『名作椅子大全』『FINN JUHL フィン・ユールの世界』『200脚の椅子』など。

上記内容は本書刊行時のものです。