北の文学三巨星 三浦綾子・渡辺淳一・河邨文一郎先生との出会い岡本 五十雄 著
定価:¥2,000+税
ISBN978-4-89115-342-7  C0095
四六判/173頁/並製
[2017年12月刊行]

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概 要

三浦綾子、渡辺淳一、河邨文一郎。
北海道文学界の三巨星との出会い・対話から
さまざまな視点で人生における考え方を綴った一冊!

三浦綾子 … 障害を受けとめるこころ キリスト教徒の愛
渡辺淳一 … 将棋・囲碁との対話、敏感力と鈍感力
河邨文一郎 … 「前医をそしらず」「聞き上手になりなさい」「病気だけをみてはいけない」。人生とリハビリテーションを語る

目 次

まえがき

三浦綾子さんとの出会い
…障がいを受けとめるこころ キリスト教徒の愛とは
一、障がいの仮の受容と本当の受容
二、繰り返す受容
三、時間をかけずに受容(神が与えた試練)
四、私の書籍への推薦文
五、復活の朝の光世さんの解説
六、光世さんとの将棋
七、将棋の世界

渡辺淳一先生との思い出
…将棋・囲碁との対話 敏感力と鈍感力
一、札幌医大石井清一名誉教授の渡辺淳一氏の絶大なる評価
二、将棋・囲碁とのおつきあい
三、将棋と囲碁以外で
四、作家であることの厳しさ
五、不思議な因縁
六、敏感力と鈍感力
七、終わりに
八、札幌医大石井清一名誉教授の感想
九、将棋余話

虹と雪のバラード 師の教え
…河邨文一郎札幌医大名誉教授との対談
・医のこころ
「前医をそしらず」
「聞き上手になりなさい」
「病気だけをみてはいけない」
・人生とリハビリテーションを語る
一、整形外科の先達とリハビリテーションの理念
二、リハビリテーション医療の展開
三、北海道のリハビリテーション医療前史
四、巡回診療
五、外科から整形外科へ
六、古い考え―当時の障がい者への認識
七、整肢学院・創設時
八、脚延長術―世界的反響、Chiary(キアリー)との論争
九、創造するということ
十、大学紛争―新しい提案
十一、日本人のこころ
十二、歩けないのは麻痺しているからではない よい方の足の力が落ちているから
十三、人類の知恵 高齢者、障がい者を大切にしてきた歴史
十四、戦中、戦後のこと
十五、軍国主義の時代
十六、戦後の労働運動について
十七、仕事への集中
十八、韓国での詩集の翻訳
十九、書籍「北海道肢体不自由児療育史」

近況報告 札樽病院に勤務してから

本文より

まえがき

 今年に入り、ふと自分のことを振り返ってみると、おそらくほかの誰もが経験していないことを経験していたと気づいたのです。
 それは、三浦綾子先生、渡辺淳一先生、河邨文一郎先生という、北海道文学界の三巨星との出会いです。それが単に顔を合わせたというのではなく、対話を通じて三巨星からさまざまな点で人生における考え方を学ぶことができたということです。
 三浦綾子先生からは、私の書籍に対して、身に余る推薦文をいただき、さらに障がいをどのように受け止めるのか、神が与えた試練、キリスト教徒の愛とは、とても考えさせるものでした。夫の光世さんからは、綾子さんへの当たり前のように献身的に協力する姿、将棋によるお付き合いを通じて、将棋は光世さんの若い時代、現在のようにテレビ、ラジオやゲーム機器のない時代、生きる支えにもなっていたのではないかと思われました。晩年は三浦綾子記念将棋大会を開催したり、北海道将棋連盟の理事を務めたりしています。
 渡辺淳一先生は、私の十年先輩です。私は札幌医大整形外科に入局しましたが、先生とは一緒に仕事をしたことはありませんでした。しかし河邨文一郎先生を囲む会で出会い、将棋をすることが分かり、初めは将棋で、その後は囲碁もするようになりました。対局と対話を通じて、またそれとなく現れるしぐさを通じて先生の人となりを実感しました。また人生において敏感力と鈍感力が必要であり、それは勝負の世界において大きな要素となることを教えられました。
 人生においても勝負の世界においてもいつも勝つわけではありません、負けてこそどうしたらよいか分かってくるのです。
 渡辺先生も直木賞をとるまでは、幾度も賞を逃しています。そして、どうしたらよいかが分かり「光と影」で直木賞に輝いているのです。その後は、破竹の勢いで医療物、伝記物、男女物を書いています。
 私に将棋という趣味がなければ、三浦綾子・光世先生と渡辺淳一先生とのお付き合いはなかったでしょう。
 河邨文一郎先生は一九六八年、私が札幌医大整形外科に入局した時の教授でした。一九七二年の札幌冬季オリンピックの主題歌「虹と雪のバラード」は、河邨先生の作詞です(歌:トワ・エ・モア)。当時、私は研修医時代で、先生は雲の上のような存在でしたが、その先生がオリンピックの詩を書いたというのにはさらに驚かされました。こんなことができるのかと。先生は日本でも有名な詩人であり、整形外科医としても名を馳せています。渡辺淳一先生の恩師でもあります。
 私は整形外科医として、その後はリハビリテーション医として、医学医療を通じて先生とのお付き合いはとても長く続きました。そこで先生が常々お話しされていたことは、「前医をそしらず」「聞き上手になりなさい」「病気だけを診てはいけない」(来た患者さんは皆同じにみなさい)(患者さんにはさまざまな事情があるものだ)というものでした。
 当初は、「キザッポイ」感じがしていたのですが、それが医療経験を積むに従い、深い意味合いをもち、心に重くのしかかり、私から離れていかないのです。そこで、対談を申し込み、先生との人生対談となりました。
 私に札幌医大整形外科入局ということがなければ、渡辺淳一先生、河邨文一郎先生とのつながりはなかったのです。
 三巨星とのお付き合を通じて得たものは大きく、それらのことが読者の皆様のお役にたてればと思い、筆を執った次第です。
 本書の出版にあたり、さまざまな点で協力いただいた中西出版の岸上祐史様、北海道医療新聞社の土屋保宣様には深く感謝申し上げます。

プロフィール

岡本五十雄(おかもと・いそお)
1943年生まれ、北海道岩内町出身。
札幌医科大学卒業後、札幌医科大学整形外科、東大病院リハビリテーション部、北海道勤医協を経て、現在、医療法人ひまわり会札樽病院リハビリテーションセンター長。公的な仕事として、札幌医科大学医学部臨床教授(2000~2007年)、北海道大学医学部非常勤講師(1997~2006年)。心身両面からのリハビリ医療を目指している。
著書に、『札幌発リハビリテーション物語』(桐書房)、『高齢者のリハビリQ&A』(講談社)、『復活の朝・札幌発リハビリテーション物語』(集英社文庫)、『ゆらぐこころ―日本人の障害と疾病の受容・克服』(医歯薬出版)、『あきらめないで認知症』(保健同人社)、『リハビリテーション物語』(真興交易医書出版)、『現代医療とギリシャ神話』(中西出版)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。