9784891153397_l齊藤 俊彦 著
定価:¥1,500+税
ISBN978-4-89115-339-7  C0036
四六判/366頁/並製
[2017年10月7日刊行]

order-1

概 要

野次、拍手、喝采…
戦後の新生青年団の若者たちは心の叫び、青春のエネルギーを弁論に昇華させた。

青年団活動の隆盛と弁論に青春をかけた青年たちの実像、そして現在の青少年弁論の状況を、著者が生まれ育った北海道・江別市の活動を中心に取り上げた。

「七分で終わる弁論――。だが、そこに至るまでには、下調べから始めて一本の原稿を仕上げるまでに半年から一年かかる。その営為は、まさに荒野に鍬を振りおろし、種を蒔き、丹精して実りを収穫する作業に似ている。」
(本文「第三章第六節」より)

目 次

口絵
はしがき

第一章 嗚呼 花の青年団
第一節 成人の祝い
第二節 青年団の誕生
第三節 彷徨から開花へ
第四節 青年弁論花盛り

第二章 輝く青春の群像
第一節 不動産会社会長 大崎 幸路
第二節 温泉宿の女将へ 川南 恵子
第三節 北浜の青年弁士 杉山 好昭
第四節 市議会議長八年 森田 正夫

第三章 今どきの若者は
第一節 青年団は今
第二節 中学生の意見
第三節 高校弁論の舞台
第四節 学生弁論の伝統
第五節 新成人の主張
第六節 獅子吼する魂

あとがき
巻末注記
巻末資料
写真・図表一覧
参考文献

本文より

あとがき

 私が子どもの頃、家の仏間の長押に金縁の額に入った表彰状が飾られていた。父が昭和三一年に全道農村青年弁論大会で優勝した時のもので、床の間にもカップや盾が飾られていたが、それらの記念物に対する特別な感慨というものは、長じてからも湧き起こることはなかった。
 しかし、定年まで残り数年となった頃から、亡父の弁論の偉業を讃え、きちんと記録に残しておきたいと思うようになった。これが本書執筆の動機である。そして、平成二六年から本格的に資料集めを始めたが、既に表彰状はなく、優勝当時の写真などを収めたアルバムも父の死後に母が処分していた。つまり、資料は皆無に近かったのである。それでも、表彰状に北海道協同組合通信社と書かれていたのを記憶していたことが幸いし、同社の高田康一氏のお蔭で、当時の資料を入手するに至る。さらに執筆範囲を広げていく中では、やっと探し出せた取材相手が既に亡くなられていたり、若い方でも都合により取材を断る方がおられたりと、それなりに苦労した。
 苦労といえば、写真の入手で残念な気持ちも味わった。中学校で薫陶を受けた校長先生の思い出を書いた箇所に肖像写真を入れようと探した折のこと。手許にあまり写りの良いものがなかったため、その校長先生が退職間際に勤務していた札幌の某中学校に当方の身分を明かした上で事情を話し、写真の提供を申し出たところ、個人情報保護を理由に拒絶されてしまったのだ。
 この状況で仮に写真を無断提供したとして、後でそれを知った遺族が『なんて事をしてくれたのですか!』と抗議することは考えにくいものの、個人情報保護の壁は如何ともし難い。
 だが、そんな悲しい気持ちを味わったのは稀で、ほとんどの場合、これまで一面識もない多くの方から取材や資料提供等で親身にご協力をいただき、あらためて人と人との繋がりに感激したところである。分けても、日本弁論連盟副会長の新田修氏、同連盟理事の南上清一郎氏、東海学園弁論部OB会幹事長の森一陽氏、北海学園札幌高等学校長の大西修夫氏、札幌月寒高等学校教諭の喜多見彰彦氏の諸氏には青年・高校弁論の関係で、また、京都大学大学院教授の佐藤卓己氏にはNHK青年の主張全国コンクールや著作権の関係でそれぞれ懇切なご教示を賜った。特に記して深甚なる謝意を表したい。
 また、中西出版株式会社の林下英二社長及び中西印刷株式会社の藤井雅之課長の両氏にも前著に続いて再びお世話になり、心からお礼を申し上げる。(著者)
     平成二九年九月

プロフィール

齊藤俊彦(さいとう・としひこ)
1958(昭和33)年北海道江別市生まれ。
1982年北海道大学文学部史学科卒業、江別市に奉職。
1992年に総務部市史編さん担当となり、95年まで「えべつ昭和史」編さん事業に従事する。
2014年同市教育委員会教育部長、16年に総務部長に就任。
著書に『家系譜・七ッ松利三郎』(私家版、1989年)、『馬のいた風景』(中西出版、2012年)がある。

上記内容は本書刊行時のものです。