若者の「地域」志向とソーシャル・キャピタル
梶井 祥子 編著

定価:¥1,800+税
ISBN978-4-89115-329-8  C0036
A5判/263頁/上製
[2016年10月刊行]

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概 要

人口減少社会に生きる若者達に我々は道筋を提示できるのか?

“若者と地域のつながり”に関するアンケート調査とヒアリングを実施した結果、高校生という年代層が持つ地域社会にとっての貴重な潜在力(ポテンシャル)に気付かされた。地元を離れるのか? 残るのか? 彼らの選択行為の背後にあるものは何か?
本書は社会学、経済学、経営学、キャリア教育学、国際広報メディア学を専門とする研究者がそれぞれの立場から「若者と地域のつながり」について考察した。

目 次

はじめに

第1章 人口減少社会に生きる若者
【梶井祥子】
1 人口が減少する社会
(1)高校生調査の背景
(2)地域社会のあり方を問い直す政策
2 高校生たちの意識に寄り添う
(1)サイレント・マイノリティ(声なき少数派)の声
(2)北海道の高校生
(3)道内の大学生
(4)地域の磁力とは何か
(5)「所属の困難」と新たな生活価値
3 ソーシャル・キャピタルへの着目
(1)ロバート・D・パットナムのソーシャル・キャピタル論
(2)ソーシャル・キャピタルの類型
(3)ソーシャル・キャピタルの位相
4 高校生の地域へのまなざし
(1)関わりへの肯定感
(2)関わりへの懐疑
(3)今後への提言
5 まとめ
(1)「(幸福を実感できる)生活価値を高める政策」
(2)「ソーシャル・キャピタルと教育支援」
(3)「開かれた地域社会」から飛翔する若者

第2章 北海道の高校生の定住意向とソーシャル・キャピタルの関係についての一考察
【吉地 望】
はじめに
1 北海道の高校生の進路意向
2 高校生の定住意向(地元志向)に関連する先行研究
3 定住意向を規定する生活満足度に影響を与える三つの要素(経済規模、都市規模、ソーシャル・キャピタル)
4 ソーシャル・キャピタルと定住意向
5 進路と定住意向
6 親子の進路希望一致度
7 むすびにかえて

第3章 高校生が語る地域移動の志向
~35人のヒアリング調査結果から~
【三上直之】
1 『銀の匙』が描く高校生の現在
2 議論の枠組み
(1)ソーシャル・キャピタル概念に関する整理
(2)高校卒業者の進路と地域移動
3 ヒアリング調査の方法
4 タイプ別にみた高校生の姿
(1)道外志向または「キャリア中心の移動志向」
(2)北海道志向
(3)地元定住志向
(4)地元回帰志向
5 考察
(1)ソーシャル・キャピタルの効果
(2)回帰志向という希望
(3)「地元」とはどこか
(4)地元への愛着と、地域移動の選択との関係

第4章 地方創生と高校生のキャリア教育
~地域が子ども・若者を育てる“ホンキ”の取り組みとは~
【和田佳子】
はじめに
1 政策主導で進展してきた日本のキャリア教育の流れ
2 北海道の高校生のキャリア教育推進の方向性
3 キャリア教育と地方創生とのかかわり
4 本調査に見られた北海道の高校生のキャリア形成意識
5 市町村が子ども・若者を育てる取り組み
(1)特色ある鹿追町・鹿追高校の取り組み
(2)鹿追高校生へのヒアリング調査から
(3)ヒアリング調査から見えた高校生のキャリア形成意識(考察)
6 地域の中で育む、これからのキャリア教育〈まちが行うキャリア教育の類似事例〉
7 結びとして

第5章 むき出しの若者
~私達は何を渡せるか?~
【佐藤郁夫】
はじめに
1 現代的課題のソーシャル・キャピタル的視点
2 日本型、共同体的ソーシャル・キャピタル
3 北海道高校生の進路選択と推移
4 寮生活とソーシャル・キャピタル
5 寮生活から読み取れるもの
まとめ

第6章 ネット社会と高校生
【藤田香久子】
1 日本のネット環境と北海道
2 若者のネット環境と課題
(1)高校生とICT
①利用している通信機器の種類
②日頃受発信するアプリ
③ネットだけで友人関係が成立するか
④ネット上の信頼関係
(2)利用状況と課題
3 つながるということ

巻末資料
(調査票/アンケート調査、ヒアリング調査概要)

本文より

はじめに
 地域社会にとって「高校生」とはどのような存在だろうか。高校生たちは、「地域社会」にどのような関心を持っているのだろうか。
(中略)
 2010(平成22)年の調査を受け継ぐかたちで、2013(平成25)年秋には道内11カ所1,720名の高校生を対象として「“若者と地域のつながり”に関するアンケート調査」(以後、「若者つながり調査」と略記)を実施し、その後5カ所でヒアリング調査(35名)を行った。
(中略)
 調査協力校は道内の11校である。高校を選定するにあたっては、次のことを留意した。①北海道の広域性を考慮し地域の偏りを最小限にすること。②札幌都市圏の高校と地方の高校を選ぶこと。③普通科と専門(職業)高校の双方を選ぶこと。④私立高校を含めること。⑤寮(寄宿舎)のある高校を含めること。
 実際に協力して頂いた高校は、三笠高等学校、札幌手稲高等学校、大谷室蘭高等学校、浦河高等学校、士別翔雲高等学校、稚内高等学校、網走桂陽高等学校、帯広農業高等学校、鹿追高等学校、標茶高等学校、中標津高等学校である。
 調査学年については学校行事などの諸事情から実施校の判断に委ねることとなったため、1年生から3年生までバラつきが出た。「高校生」として一体に扱うこととした。各校とも対象学年全員への実施を条件とさせて頂いている。
 アンケート調査、ヒアリング調査に関する概要一覧は本書の巻末にまとめて掲載した。 本書は社会学、経済学、経営学、キャリア教育学、国際広報メディア学を専門とする研究者が、それぞれの立場から「若者と地域のつながり」について論じている。結果として学際的な広がりを持つことになり、それが本書を特徴づけることにもなっている。
(中略)
 本書は、調査にご協力いただいた高校生、各高校の諸先生方のおかげでまとめることができた。お忙しいなかでご尽力いただいたことに、あらためて心からの御礼を申し上げる次第である。高校生の皆さんの気持ちを十分に汲み取れていない部分もあるかもしれないが、若い世代が受け継ぐ地域社会がより善いものとなるよう、執筆者一同が真摯に取り組んだ。皆様からの忌憚のないご意見、ご批判を頂ければこの上もない喜びである。 地域社会にとって「高校生」とはどのような存在だろうか。高校生たちは、「地域社会」にどのような関心を持っているのだろうか。
(中略)
 2010(平成22)年の調査を受け継ぐかたちで、2013(平成25)年秋には道内11カ所1,720名の高校生を対象として「“若者と地域のつながり”に関するアンケート調査」(以後、「若者つながり調査」と略記)を実施し、その後5カ所でヒアリング調査(35名)を行った。
(中略)
 調査協力校は道内の11校である。高校を選定するにあたっては、次のことを留意した。①北海道の広域性を考慮し地域の偏りを最小限にすること。②札幌都市圏の高校と地方の高校を選ぶこと。③普通科と専門(職業)高校の双方を選ぶこと。④私立高校を含めること。⑤寮(寄宿舎)のある高校を含めること。
 実際に協力して頂いた高校は、三笠高等学校、札幌手稲高等学校、大谷室蘭高等学校、浦河高等学校、士別翔雲高等学校、稚内高等学校、網走桂陽高等学校、帯広農業高等学校、鹿追高等学校、標茶高等学校、中標津高等学校である。
 調査学年については学校行事などの諸事情から実施校の判断に委ねることとなったため、1年生から3年生までバラつきが出た。「高校生」として一体に扱うこととした。各校とも対象学年全員への実施を条件とさせて頂いている。
 アンケート調査、ヒアリング調査に関する概要一覧は本書の巻末にまとめて掲載した。 本書は社会学、経済学、経営学、キャリア教育学、国際広報メディア学を専門とする研究者が、それぞれの立場から「若者と地域のつながり」について論じている。結果として学際的な広がりを持つことになり、それが本書を特徴づけることにもなっている。
(中略)
 本書は、調査にご協力いただいた高校生、各高校の諸先生方のおかげでまとめることができた。お忙しいなかでご尽力いただいたことに、あらためて心からの御礼を申し上げる次第である。高校生の皆さんの気持ちを十分に汲み取れていない部分もあるかもしれないが、若い世代が受け継ぐ地域社会がより善いものとなるよう、執筆者一同が真摯に取り組んだ。皆様からの忌憚のないご意見、ご批判を頂ければこの上もない喜びである。

プロフィール

【座長・第1章担当】
梶井祥子(かじい・しょうこ)
札幌大谷大学社会学部 教授(北海道ソーシャル・キャピタル研究会座長)
札幌市生まれ。1979年慶応義塾大学法学部政治学科卒業、2003年北海道大学大学院文学研究科人間システム科学専攻修士課程修了。
1980年北海道新聞社入社、89年北星学園女子短期大学非常勤講師、2003年北海道武蔵女子短期大学准教授、2010年同大学教授、2013年から札幌大谷大学社会学部教授。専門領域は社会学、家族社会学。
著書『絆―喪失から再生、そして新生へ―』(共著)、『これからの選択ソーシャル・キャピタル』【第2章担当】(共著)、『アンビシャス社会学』(共著)。論文「家族意識の変容過程」「札幌市における包括的若者支援の試み」など。北海道社会教育委員会議議長、札幌市子どもの権利委員会委員など公職多数。

【第2章担当】
吉地望(きちじ・のぞみ)
北海道武蔵女子短期大学経済学科 教授
1970年北海道倶知安町生まれ。北海道大学大学院経済学科博士課程修了。2012年から北海道大学客員教授。博士(経済学)。
専門は地域経済論、経済ネットワーク分析(地域通貨、観光動線)等。

【第3章担当】
三上直之(みかみ・なおゆき)
北海道大学高等教育推進機構 准教授
1973年千葉県生まれ。東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了。博士(環境学)。
専門は環境社会学、科学技術コミュニケーション。

【第4章担当】
和田佳子(わだ・よしこ)
札幌大谷大学社会学部 教授
札幌市生まれ。1983年藤女子大学文学部卒業。民間企業勤務の後、92年國學院短期大学専任講師。2010年年北海道武蔵女子短期大学教養学科教授。
専門はキャリア教育。日本ビジネス実務学会常任理事。日本インターンシップ学会常任理事。札幌市社会教育委員。

【第5章担当】
佐藤郁夫(さとう・いくお)
札幌大学 教授
1955年北海道初山別村生まれ。上智大学卒業後、民間企業を経て96年から札幌大学。博士(経済学)。
社会起業家論、ベンチャー論、マーケティング等が専門。

【第6章担当】
藤田香久子(ふじた・かくこ)
北海道大学大学院 専門研究員
江別市生まれ。1969年日本女子大学文学部英文科卒業。
2003年北海道大学大学院国際広報メディア研究科公共伝達論修士専攻修了。2011年同研究科博士課程修了。博士(国際広報メディア学)。

上記内容は本書刊行時のものです。