表紙まわり.indd保坂 武道 著
定価:¥1,600+税
ISBN978-4-89115-325-0  C0037
A5/232頁/並製
[2016年6月刊行]

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概 要

これがほんものの生徒指導。
50年以上にわたる学校現場での実践から、「生徒指導提要」に迫る。
激変の時代に即した「新しい生徒指導」はどうあればよいのか。学校づくりの根本的な取り組みから、その方法・原理を再考する。

平成22年改訂の「生徒指導提要」では、「自己指導力」に加え「社会的なリテラシー」の育成がねらいとされた。
そこで生徒指導の方法・原理に基づき、教育課程の各領域における機能を整理した「学校教育目標の具現化構想試案」を独自に作成。学校づくりのなかでの生徒指導の目標・関わり方を明確にし、教育カウンセリングを基軸にした積極的な生徒指導を提示する。

目 次

はじめに
発刊によせて

第1部 積極的な生徒指導

1 自己指導力の育成をめざして
2 社会的なリテラシーの育成
3 『生徒指導の手引き』から『生徒指導提要』へ
4 戦後の生徒指導に三つの流れ
5 指導の方法・原理
6 指導原理の根本にある人間観
7 発達課題に指導の重点を置く
8 実存主義の考え方が中心に
9 人間としての弱さを共感しあう
10 全教職員によって展開される
11 全教育課程とのつながりの中で
12 進路指導と生徒指導―自己理解・生きる力
13 育てるカウンセリングで学級づくり
14 中学生が自ら企画して活動する
15 個人内差の増幅を志向する
16 問題行動の質的変遷をおさらい
17 崩壊は容易、回復には長い月日
18 学校が荒れた歴史に学ぼう
19 勉強嫌いの子を1人でもなくす
20 校長としての本格的な取り組み
21 学校活性化の起爆剤になる
22 授業改善と校内研修がカギ
23 学校生活のきまり
24 青少年の健全育成と関係機関との連携

第2部 不登校への対応

1 不登校の予防と対応
2 捉え方の変遷と基本認識
3 不登校の要因と学校を取り巻く社会の変化
4 不登校の分類と神経症的状態の典型
5 神経症的不登校の段階別・具体的症状
6 真因を見極め組織で取り組む
7 受容される喜びが心の居場所
8 校内研修で対応ロールプレーを
9 不登校における学校での支援
10 個別支援法を身につけよう
11 主体性を教育実践でどう培うか
12 目先の学力に一喜一憂しない
13 構成的グループ・エンカウンター
14 アサーション・トレーニング
15 人工的社会場面でのスキルを育む
16 不登校対策の実践から見えてくるもの

第3部 いじめの理解と対応

1 国・学校の抜本的な改善が望まれる
2 いじめ4波の襲来
3 いじめの背景・要因
4 いじめに対する文科省の対応
5 いじめの捉え方
6 いじめにおける昔と現代の決定的な違い
7 いじめの背景と様態
8 いじめの背景を学校教育の視点から捉える
9 いじめの早期発見と対応
10 いじめ面接の注意事項
11 ネットによるいじめの実態
12 抜本的な学校改善と校長の指導性
13 新しい視点に立つ学校づくり
14 継続的な人権教育の推進
15 効果的なピア・サポートの実践

第4部 開発的な教育相談

1 学校教育相談の歩みと展開~学校改善の視点から
2 学校教育相談の捉え方と進め方
3 カウンセリングの進め方・心とスキル
4 児童生徒における問題行動の理解
5 学校教育相談の課題
6 教育カウンセリング六つの実践
7 学校教育相談のまとめ

終章 学校評価・生徒指導の評価
あとがき

本文より

はじめに

 子ども・青少年の粗暴な行動や被害が跡を絶たない。関係者の努力もむなしく、それは、年々深刻・凶悪化しつつある。
 残虐性が際立つ川崎の中1少年殺人事件。岩手・仙台・沖縄等の各地で生じているいじめによる自殺と隠蔽。寝屋川の中1男女の殺害等々。これらはいずれも防げるものであったと思われる。
 学校・家庭・地域の連携はもちろんだが、根底にあるのは、少年少女たちの居場所がないことである。そういう子どもを生み出さない学校づくり、家庭が望まれるのだが、現実は、学校においていじめや不登校、学級崩壊、規範意識の低下、人間関係が苦手、自尊感情の欠落などが生じ、教育現場の課題になっている。それぞれに根の深い原因、背景はあるが、根本的な対応が望まれる。

 そこで、ここでは、激変の時代に即した「新しい生徒指導」はどうあればよいのか。また、学校づくりは、その根本的な取り組みを再考してみる。

 本書の原稿は、『教育新聞』の連載に手を加えたもので、今も掲載されている。執筆のきっかけは、前述した少年の痛々しい事件の続出と、私のライフワークである生徒指導の探求、NPO法人道南の子育て・教育を支援する会の発展を願ってのことである。
 いま、教育行政が学力向上に躍起になっている。もとより学力を否定はしない。しかし、大学全入時代を迎え、目先の点数の学力にとらわれないで、学問を学ぶことの楽しさや面白さを身につけてやれないものか。本来、学校は楽しい場所なのに、テストと序列づけの教育。そこから受ける子どもたちのダメージを真摯に理解できる大人がどれだけいるだろう。同時に、それぞれの将来に向けて、自己肯定感・良好な人間関係を築く。グローバルな視点で、心身共に逞しく生きる人材育成に精力を注いでいるかということである。

 本書に掲載した「学校教育目標の具現化構想試案」は、教育現場の発想から提示する、21世紀における学校経営の試案である。日々の教育実践を営んでいく、指針として参考にしていただければ幸甚である。同時に、プロ教師の集団が英知を結集して、個性豊かな人材の発掘に努めてもらう。このことが、問題行動や非行を未然に防ぐ最大の防御にもなる。
 警察や夜回りを増やし、管理を強化すればよいという問題ではない。これは、教育現場で活躍されている先生方への私からのエールでもある。魅力ある学校づくり、「人間の尊厳」を大切にする教育の実現を目指して、研鑽に励んでほしいのである。
  平成二十八年五月吉日   著 者

プロフィール

保坂武道(ほさか・たけみち)
NPO法人道南の子育て・教育を支援する会代表、函館大谷短期大学名誉教授。
昭和12年北海道知内町生まれ。國學院大學文学部文学科卒。
中学校で教諭、教頭、校長として36年間勤務の傍ら、北海道立教育研究所で生徒指導の講師を15年間担当。その後、函館大谷短期大学幼児教育科(平成18年より「こども学科」に名称変更)で講師、教授、学生部長、学科長、学長代理、名誉教授を歴任。
学校カウンセラー、スーパーバイザー、上級教育カウンセラー、ガイダンスカウンセラーの資格を持つ。
主な出版物として、共著に『学校カウンセリング実践講座』(全10巻、学習研究社)、著書に『生徒指導を生かした学校経営』(北海道教育社)、『教育への挑戦』(日本教育新聞社)、『いま学校を変えよう』(文芸社)、『学校は変われるのか』(新生出版)、『わかりやすい教育学』(教育新聞社)、『「教育相談」と「育てるカウンセリング」の統合による展開』『「自己実現を目指す生徒指導」の方法・原理と実践』『新しく展開する生徒指導の理論と展開』(以上、五稜出版社)がある。

上記内容は本書刊行時のものです。