Šw—ÍŠë‹@ƒJƒn?[読売新聞北海道支社 編著
定価:¥1,400+税

ISBN978-4-89115-280-2  C0037
A5判/238頁/並製
[2013年8月刊行]

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【電子書籍版は下記書店から 希望販売価格:¥800+税

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概 要

「2014年までに学力を全国平均以上にする」(2011年6月、北海道教育委員会による宣言)
国が実施する全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で不振が続く北海道。その現状にたまりかねた北海道教育委員会は、「2014年までに学力を全国平均以上にする」という目標を掲げた。
だが、肝心の教育現場はどう考え、どう動いているのか。
各校の校長や教諭、教育委員会の関係者まで、幅広く徹底した取材を重ねて現場の声を集め、状況の打開に苦闘する北海道の教育の課題を浮き彫りにした。最終章には展望を「明日への提言」としてまとめ、学力向上の処方箋を示している。
大反響を呼んだ読売新聞北海道版連載記事「学力危機」(2011年8月~13年3月紙面連載)を総括した、充実の一冊。

目 次

はじめに

「学力危機 北海道」を推薦する  北海道教育大学学長 本間謙二

第1部 札幌の格差

第1回 学校間二極化の現実
第2回 授業力不足 自覚薄く
第3回 校長奮闘 土曜の教室
第4回 教員同士 授業を見学
第5回 「競いたい」 塾で満たす
第6回 生活面まで指導 重荷に
第7回 地域で支える学習会
第8回 担任「苦手な理科」も指導
第9回 体力作りで「粘り」養う
第10回 近郊自治体 一歩先へ
読者の反響 「子育てしていて不安」
私の提言
進歩阻む「平等偏重」  FM北海道常務取締役 中田美知子さん
切磋琢磨する環境を  鶴雅グループ社長 大西雅之さん
指導力向上 学校全体で  兵庫教育大学教授 日渡 円さん
教員の熱意を全面支援  私立北嶺中学高校校長 粥川昭弘さん
公教育に数値目標を  北海道文教大学准教授 鈴木重男さん
紙上対談 高橋教一道教育長×北原敬文札幌市教育長

第2部 札幌の〝常識〟

第1回 違い知る 教員交流
第2回 人気の校区へ 転居選ぶ
第3回 進学実績「3K2F」健在
第4回 公立不安 私立中に追い風
第5回 人材活用 近隣が先行
第6回 敏腕教諭が私学転身
第7回 わかる授業 意欲生む
第8回 「北大が頂点」 内向き志向
第9回 学びたい教員 負担重く
第10回 「地域守るため」動く市町
第11回 教師も学ぶ「北欧流」
読者の反響 「自主性任せ」に不安の声
政令市調査 札幌「独自テスト」消極的
私の提言
学力、全員調査で把握  元北海道教育長 吉田洋一さん
図書館で「わかる」実感  八洲(や しま)学園大学教授 高鷲忠美さん
子どもに「成功体験」を  「釧路の教育を考える会」副会長 三木克敏さん

第3部 教師のチカラ

1回 初任者に辛口指導
2回 広域異動 若手磨く
3回 組合内 学び場減少
4回 教委指導に組合側「多忙」
5回 「授業バトル」で意欲向上
6回 「達人の背中」追い続ける
7回 有志で「塾」 自ら高める
8回 指導力 伸ばせぬ現場
9回 IT活用 独自に模索
10回 教える自覚 学生時代に
11回 個別指導 ネットも力に
12回 「みんな一緒」からの卒業
私の提言
「学ぶ教師」管理職が範を  植草学園大学教授 野口芳宏さん
周囲の期待 教師は意識を  フリーアナウンサー 鶴羽佳子さん
開かれた学校ほど質高く  国立教育政策研究所総括研究官 千々布敏弥さん
シンポジウム 北海道の『学力危機』を考える

第4部 低迷の深層

第1回 学校力 鍛える試み
第2回 中3授業 100時間超す差
第3回 北教組と札幌市 重なる姿勢
第4回 校長 指導力発揮に本気
第5回 授業研究 問われる成果
第6回 ゆとり求め「中高一貫」
第7回 無難に終始? 進路指導
第8回 道教大改革 学生と距離
第9回 全児童底上げ 成果着々
第10回 組合政治活動 負の遺産
PTAアンケート 「学校間に格差」9割
釧路教育フォーラム 釧路の学力危機 討論
私の提言
PTA 学校の支え役に  札幌市立札幌開成高校PTA会長 朝岡敏春さん
教えること 積極的に  東京大学教授 市川伸一さん
私の体験
ゆとり教育過ぎて不安  中国札幌総領事館領事 蒋 春雷さん

第5部 基本に返る

第1回 深刻な語彙力不足
第2回 放課後 貴重な学習時間
第3回 ノート書き取り 知識定着
第4回 「見習い制」新教員育てる
第5回 事務職員の力 フル活用
第6回 理科の授業で五感育む
第7回 数値目標 軽視しない
第8回 諦めない心を育む
第9回 「凡事徹底」成績底上げ
第10回 教員の甘さ 低迷招く
私の提言
独自教材作りに力を  大阪府教育委員長 立命館大学教授 陰山英男さん
2012年度全国学力テスト結果 学力の格差 縮小傾向
明日への提言
学力向上 北海道一丸で
第1回 農業 体より頭使う
第2回 数値公表 忌避する教委
第3回 基礎力の保障 行政模索
第4回 学校あげて教育向上を
第5回 札幌市の向上策 不足

あとがき

本文より

前書き
 本書は、読売新聞東京本社北海道支社が2011年8月から13年3月まで、50回以上にわたって連載した企画「学力危機」をまとめたものだ。国が 実施する全国学力・学習状況調査(全国学力テスト=学テ)で不振が続く北海道の現実を受け、その理由を分析して学力向上の「処方箋」を示すことを目指し た。
 北海道は学テの都道府県別平均正答率で、07年から10年まで4年続けて、ほとんどの教科で40位台だった。たまりかねた道は11年6月になってようやく、「14年度の全国調査までに学力を全国平均以上にする」という目標を打ち出した。
 しかし、肝心の教育関係者は、危機感が乏しいように見えた。「学力危機」というタイトルで連載を始めたのは、こうした北海道の状況に警鐘を鳴らしたい思いからだ。
 連載初回は、関係者の危機感の欠如を端的に示す、こんな言葉から書き出した。
 「勉強だけの子どもを育てたくありません」
 札幌市郊外のある小学校で、学力向上のために授業改革を提案した校長に、教員が反論した言葉だ。
 「学力向上」がなぜ、「勉強だけの子ども」という負のイメージにすり替わるのか。この意識の根底にはいったい何があるのか──。
 各校の校長や教諭、教育委員会の関係者らに幅広く、徹底して取材を重ね、現場の声を集めた。連載では、タブーを設けず、北海道の抱える問題点を率直に指摘するよう心がけた。
 「市教委は競争排除」、「授業力不足 自覚薄く」、「組合政治活動 負の遺産」。連載の見出しを振り返ると、刺激的な言葉が並んでいる。
 それまで道内ではほとんど報じられなかった問題を取り上げ、道の教育の実態が明らかになるにつれ、支社には大きな反響が寄せられた。教育関係者の信頼も得られるようになり、「教育の読売」という評価をいただくことができた。

 学テは、07年に発足した第1次安倍内閣が、教育再生の柱の一つとして08年に復活させた。復活後初の実施を1週間後に控えた同年4 月17日の衆院本会議では、野党議員が「競争の教育を一層激しいものにし、全国の学校と子供たちを序列化する」と学テの中止を求めたが、安倍晋三首相は 「義務教育については、全国どの地域においても一定水準の教育を受けることができるようにし、その成果もしっかり把握、検証する仕組みが必要だ」と反論 し、学テの意義を訴えた。
 その安倍氏は昨年、首相に返り咲き、今年1月の所信表明演説でこう語った。
 「国の未来を担う子どもたちの中で陰湿ないじめが相次ぎ、この国の歴史や伝統への誇りを失い、世界に伍していくべき学力の低下が危惧される、教育の危機。このまま、手をこまねいているわけにはいかない」
学力危機は今や、全国に広がりつつある。それが最も早くから、最も鮮明に現れていたのが北海道だ。
 学力そのものは生きるための道具に過ぎないが、あれば助かる「便利グッズ」などではない。なくてはならない「サバイバルツール」なのだ。その「ツール」 を、すべての子どもたちが義務教育を終えるまでに与えてやれなければ、教育に携わる者として怠慢のそしりを免れないだろう。
 北海道支社では、道が学テの全国平均達成の目標時期に掲げた14年度が近づく中、学力危機の取材を続け、新シリーズの連載を始めている。その第一歩となる本書を、この機会にお読みいただければ幸いである。

読売新聞北海道支社編集部長 津田 歩

プロフィール

読売新聞北海道支社
<執筆者>

 宮崎 敦(現東京本社科学部)
 北浦義弘(同社会部)
 菅野 薫(同地方部)
 野島正徳
 小豆畑栄
 平田 舞
 川瀬大介
 上杉洋司(同国際部)
 作田総輝
 板倉拓也
 土田浩平
 森近 正
 江村泰山
 中西 茂

上記内容は本書刊行時のものです。