978-4-89115-162-1早川 禎治 著
定価:¥1,600+税
ISBN978-4-89115-162-1  C0026
四六判/288頁/並製
[2007年4月刊行]

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概 要

66歳の著者が、北海道1,500kmを82日間かけて歩き綴ったアイヌモシリとは?
北海道の歴史の再発見や美しい自然と共存していたアイヌモシリに対する和人の暴挙、アイヌ民族そのものを否定し、自然破壊などをしてきたことなどを鋭く考察した1冊。

目 次

序 章 旅へのいざない
『東蝦夷日誌』の部 
 第一章 下在をいく
 第二章 アイヌモシリ、有珠の善光寺まで
 第三章 日高の海へ
 第四章 襟裳岬をこえて十勝川へ
 第五章 釧路川の氾濫原
 第七章 ノツカマップへ
『西蝦夷日誌』の部 
 第八章 上在をいく
 第九章 太田権現
 第一〇章 江差追分異聞
 第一一章 女人禁制の地へ
 第一二章 石狩川へ
 第一三章 雄冬岬をこえて
 第一四章 笘前領をいく
 第一五章 宗谷場所へ
 終章 蝦夷錦考 ―宗谷からアイヌモシリをかんがえる―
 付図 東西蝦夷山川取調地図

本文より

 生まれ育った北海道について、いちどは全体像をとらえてみたい。
 旅には未知にたいするいざないとか、過去にたいする感傷というのもあるだろう。あるいはまた、なんでも見てやろうという好奇心もあれば単純に観光旅行というのもある。しかしこの旅はまったくちがった衝動から出発する。
 ぼくは登山を趣味にしている。日本の山にかぎらず海外にも出かけ、この一〇年ヒマラヤにも通いつづけている。登山歴はまもなく五〇年になろうとしているが、このところ北の自然が異常な速さで変化してきていることに不安を感じている。その不安はたんに山の自然にとどまらず、この全体がとりかえしのきかない破壊にさらされているのではないか、というものである。人間と自然との関係が決定的におかしくなってきているという印象に根ざしている。そこで、山に限定せず、ぼくの目で北海道全体の現実をみることからはじめたいとおもった。
 出発する前にぼくのやり方を説明しておきたい。
 松浦武四郎の『東西蝦夷日誌』を参照する。そうして、できるだけかれの旅に準ずることにする。全日程をあるく、ということである。『日誌』を手にしながらの旅はかれの時代と現在とを直接比較することができる。この地の変容は一五〇年の経過でもってあきらかになるだろう。
もうひとつある。かれは旅をかさねながら克明にアイヌ語地名を記録している。それが現在の地名とどうかさなるのか、あるいは失われているのか、その地点に立って具体的にしることができる。
 つぎに方法である。装備は夏山登山のものに準じる。テント・寝袋・炊飯用具・食料・着替えなどで、大型のザックにいれて背負う。テント生活を基本とし荒天時はできるかぎり宿屋を利用する。ルートは武四郎にならって海岸沿いを原則とするが、あくまでも道路をあるく。国道をゆくことになるが、ない場合は道道(本州の県道にあたる)あるいは町村道をあるくことになる。あるく距離だけをかんがえるとぼくのほうが長くなるだろう。なぜなら、かれは時に舟行・騎行しているからである。通過する町や村の商店はできるだけ利用して食料や飲料を補給する。集落のない原野や山中はもちろん自炊になる。ザックは二〇キロをこえないようにする。

プロフィール

早川 貞治(はやかわ ていじ)
1939年、北海道生まれ。北海道大学卒業。日本山岳会会員・第二次野帳同人。
(著書)『知床記』『後方羊蹄山登攀記』『ネパールの花』『手稲山紀行・傷ついた自然の側から』

上記内容は本書刊行時のものです。