4-89115-107-2STVラジオ 編
定価:¥1,200+税
ISBN4-89115-107-2  C0021
四六判/344頁/並製
[2002年2月刊行]

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概 要

本書は、札幌テレビ放送の毎週日曜日午後5時からラジオ放送されている「ほっかいどう百年物語」の番組をまとめたものである。
榎本武揚や松浦武四郎、黒田清隆、高田屋嘉兵衛、クラーク博士をはじめ、定山渓温泉を開いた美泉定山、日本の女医第1号荻野吟子、「北見のおばば」と呼ばれた菊地トメ、北海高校の初代校長・浅羽靖、19歳という短い生涯の中で「アイヌ神謡集」をのこした知里幸恵ら、登場する38人は様々な面で北海道の発展に尽力した人々。その業績などは有名だが、苦悩や努力などのエピソードは知られていないことも多い。

目 次

榎本 武揚(えのもとたけあき)/激動の幕末に蝦夷地共和国誕生のロマンを追い求めた
松浦武四郎(まつうらたけしろう)/蝦夷地を北海道と名づけた探検家
黒田 清隆(くろだきよたか)/北海道の原点を築いた第3代北海道開拓長官
島  義勇(しまよしたけ)/札幌の町を碁盤の目に区画整理した初代開拓使判官
岩村 通俊(いわむらみちとし)/ススキノに遊郭を作った2代目開拓使判官
村橋 久成(むらはしひさなり)/サッポロビールの前身、開拓使麦酒醸造所の建設責任者
高田屋嘉兵衛(たかだやかへえ)/江戸時代後期に函館を拠点に北方漁業で活躍した商人
美泉 定山(みいずみじょうざん)/定山渓温泉を発見した岡山県出身の修行僧
ウィリアム・スミス・クラーク/「少年よ、大志を抱け」で有名な北海道のシンボル的な人物
ホーレス・ケプロン/黒田清隆に熱望され来道した北海道開拓構想の推進者
エドウィン・ダン/ケプロンに見いだされ北海道の農業開発に大きく貢献
新渡戸稲造(にとべいなぞう)/札幌農学校卒業後、教育を通して多くの若者に影響を与えた
石川 啄木(いしかわたくぼく)/岩手県出身の天才詩人で、北海道放浪後27歳で夭逝
月形  潔(つきがたきよし)/月形町にあった樺戸監獄の初代典獄(現在の刑務所長)/
荻野 吟子(おぎのぎんこ)/明治時代、我が国初の女性医師となり瀬棚町に医院を開業
依田 勉三(よだべんぞう)/静岡県伊豆出身で晩成社を興した「十勝開拓の祖」
渡辺 カネ(わたなべかね)/依田勉三らとともに、十勝開拓に一生を捧げた女性
中村 千幹(なかむらちから)/富良野の地を原始林から開拓した「富良野市のコロンブス」
丹羽 五郎(にわごろう)/福島県出身、現在の瀬棚郡北桧山町丹羽地区で町づくりに貢献
今井 藤七(いまいとうしち)/北海道を代表する百貨店、丸井今井デパートの創始者
佐藤 昌介(さとうしょうすけ)/北大初代総長、札幌農学校でクラーク博士の教えを受けた1期生
サラ・クララ・スミス/現在の北星学園を創設したアメリカ人女性宣教師
浅羽  靖(あさばしずか)/北海道有数の歴史を持つ北海高校初代校長
有島 武郎(ありしまたけお)/ニセコ町の有島農場を小作人に開放した、白樺派の代表的な小説家
木田金次郎(きだきんじろう)/有島の小説「生まれいづる悩み」のモデルとなった漁師画家
知里 幸恵(ちりゆきえ)/アイヌの叙事詩「アイヌ神謡集」を残したアイヌ民族最大の女流詩人
吉良平治郎(きらへいじろう)/釧路町で郵便配達人として責務を全うし殉職したアイヌ民族
中山 久蔵(なかやまきゅうぞう)/北広島市島松町で北海道で初めて寒冷地稲作に成功
黒沢 酉蔵(くろさわとりぞう)/雪印乳業の創設者で北海道の酪農振興の基礎を作る
竹鶴 政孝(たけつるまさたか)/ニッカウヰスキーを興し、日本のウィスキーの父
松浦 カツ(まつうらかつ)/美深町の児童擁護施設「美深育成園」の創設者
ビクトル・スタルヒン/日本プロ野球界初めての外国人選手で我が国初の300勝投手
三松 正夫(みまつまさお)/昭和新山誕生の全てを記録し続けたアマチュア火山学者
神田 日勝(かんだにっしょう)/鹿追町で農業を営みながら絵を描き続けた農民画家
武田斐三郎(たけだあやさぶろう)/幕末の蘭学者で函館奉行所に仕えた五稜郭の設計者
岩元 悦郎(いわもとえつろう)/障害者教育に全てを捧げた帯広盲学校の初代校長
菊地 トメ(きくちとめ)/「北見のおばば」と呼ばれた北見国鉄職員独身寮の寮母
繁 次 郎(しげじろう)/江戸から明治にかけて江差の鰊漁場で生まれた民話の主人公
参考資料
あとがき -一生を語る- 三上勝由(俳優)

本文より

はじめに
 『○月○日、日曜日。午後5時になりました。STVラジオ、ほっかいどう百年物語。  (BGM IN~)
私達の住む北海道は日本の国土面積の22%を占めています。そして、その大きく広がる山林や寒気の厳しい長い冬、流氷の押し寄せる海岸など、厳しい自然条件の中で、先住民族であるアイヌ民族や北方開発を目指す日本人によって拓かれた大地です。その歴史は壮絶な人間ドラマの連続でした。毎週この時間は、21世紀の北海道の指針を探るべく、ロマンに満ちた郷土の歴史をご紹介してまいります。ご案内役は奈良愛美です。』
 この文章は、本書が刊行されるきっかけとなったラジオ番組の冒頭の放送原稿です。放送開始は2000年10月、そして現在も放送は続いています。毎週、北海道にゆかりのある人物にスポットライトをあて、その人生ドラマを約6千字の放送原稿にして、朗読のスタイルで30分間の番組として放送しています。
 5年ほど前、STVラジオのお昼の番組、喜瀬ひろしのときめきワイドで、5分闇のコーナーとして「北海道再発見~銅像がいくぞー!」を放送しました。道内のいたる所にある銅像ですが、ゆっくりと立ち止まって見ることもなく、その銅像になった人物が一体、何を為した人なのか、お昼休みのラジオから流れてきたら、少なからず、興味を持って聴いてくれるのでは……。と思い、スタッフで調べはじめ、放送を開始したのです。一年半で約130の銅像を紹介し番組を終了しましたが、改めて知ったことは「先人たちのこの地に住む覚悟と苦労と、そして深いヒューマニズム」でした。とても毎日の5分コーナーでは紹介しきれる内容ではなく、放送できなかった多くの資料とスタッフの悔しい思いが残りました。そして、その思いがエネルギーとなり、この番組が誕生しました。
 2002年、STVラジオは開局40周年を迎えます。その記念事業の一環として、この番組を出版という形で、目に触れるものとして残せることは、私たちラジオマンにとって嬉しいことです。が、本来、ラジオは消えていくものだから「いい」のかもしれません。「耳」に残り、「心」に残るラジオ番組を作りなさいと、先輩たちから教えられてきました。しかし、この北海道の人間の歴史だけは、耳に届かなかった方にも、活字として読んでいただき、その人間ドラマに触れてほしいと思います。折しも今は、デフレスパイラル。先行き不安の中、景気も良くなる気配はありませんが、ほんの少し前、北の大地、北海道で繰り広げられた先人たちの壮絶な人間ドラマを知れば、今を生きていく勇気が湧いてきます。全ては「元気」がはじまりです。
 本書の出版に際して、このラジオ番組を聴き、「本にしたい」と言って下さった中西出版株式会社の八巻正夫氏と河西博嗣氏、そして、番組に対し様々な角度からご教示、ご指導を賜りました関係者の皆様に改めて、紙面をもってお礼申し上げます。
  2002年1月

佐々木信恵(「ほっかいどう百年物語」構成作家)

プロフィール

STVラジオ制作スタッフ
 ナレーター   三上 勝由、岡田 雅夫、工藤 みき、藤原 俊和、奈良 愛美
 構成作家    佐々木信恵
 ディレクター  永井 茂夫
 プロデューサー 坪内 弘樹