978-4-89115-204-8 中神 哲二 著
定価:¥1,600+税
ISBN978-4-89115-204-8  C0026
四六判/318頁/並製
[2009年9月刊行]

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概 要

何かやり残したことがあるのでは?
「もっと日本のことを知りたい」との思いをもって旅に出た。
4,800kmを走った所で事故にあい負傷。
一度、心に決めた目標は絶対に達成させる!!
2年後、「北海道開拓の歴史をたどる旅」をテーマとして再チャレンジ!
出会った人たちから勇気をもらって夢を実現。さらに夢は膨らむ。
人気ブログ「日本一周 by 自転車」が旅日記に!
~(「帯文」より)

目 次

プロローグ(人生のドラマが)
第1章 なぜ日本一周を
第2章 旅立つまで
第3章 旅の記録
第4章 そして事故に遭遇
第5章 事故が新たな目標を作ってくれた
第6章 旅の記録 再チャレンジの旅
第7章 旅を終えて
第8章 安全な走行のために
発刊に寄せて
終わりにあたり

日本一周by自転車

本文より

おわりに
 友人から「日本一周をしてどこが一番良かったか」とよく聞かれる。その質問を初めて受けた時には答えに窮した。しばらく考え、出てきた言葉が「どこも良かった。それよりか、一番は人との出会い」である。
 私の行った自転車の旅は、観光地を巡るのではなく「その土地を知りたい。その地に住む人を知りたい」から発した旅だった。自転車はそれらの目的を叶えてくれる最良の乗り物で、旅先で色々な人から声をかけられ、激励を受けた。普段、街中で生活をしていると知らない人から声をかけられることはないし、かけることもないが、この旅では日々が人との出会いであり、「人とはこんなにすばらしいんだ。こんなに美しいんだ」と感じた。
 それと、美しく感じたのは観光地ではなく、田園風景、牧場の風景である。特に、北海道の農村地帯を回る時には、その地の歴史的背景を意識しながら走った。鬱蒼と巨木が乱立する未開の原野を切り開き、土を起こし、水を引き、今ある田畑、牧場を築いたのだ。この豊かな実りは、土まみれ、汗まみれになりながら開墾していった祖先の人達の努力の結晶であると考えた時に、なんと北海道の農村風景はすばらしいのだろうと思えてきた。
 それとは逆に、寂れ行く地方の現状もつぶさに見ることができた。地方の町はシャッターを下ろす店が多く、夜になると電気の点かない家がいっぱいあるとも聞いた。かつては鰊漁で栄えた海岸の漁村には朽ち果てた家屋が散在し、学校は閉校、子供達の中には毎日数十キロ離れた小学校、中学校に通学している子もいた。
 また、美しい農村風景というのは、後継者が存在し生産性の上がっている地域で、後継者のいない、それ以外の地では田畑が荒廃し原野に戻りつつある現状も見た。
 これらを見て、これからは極楽とんぼではいられない、このすばらしい日本のために、郷土のために何かをしなければという気持ちになったのも事実である。都会の便利な生活に馴染んでしまうと気がつかないかもしれないが、自転車で地方を走り、その現状を見て、その地に住む人の話を聞いた時には、誰もがそんな気持ちになるのではと思う。
 今つくづくこの旅をして良かったと思っている。最初は、人のやれないことにチャレンジし、少し優越感に浸ろうという思いもあった。走り終えた時、そんなことはほんのちっぽけなことであることが分かった。
 五十八年の人生の大半を北海道で過ごし、色々な場所を旅行してきた。少しは日本のことを、北海道のことを知っていると思っていた。しかし、今回走ってみて、狭いと思っていた日本が意外と大きな国であること、日本はそれぞれ歴史と伝統を持つ地方(それは県であり、旧藩かもしれないが)が集まって一国をなしているということが分かった。
 また、今回調べた幕末から明治維新の歴史についても、薩摩、長州側から見たものと、会津、仙台等東北側から見るのでは違うということがわかった。歴史は一方からの視点で見るのではなく、他方の視点から見ることによってその背景が分かってくる。そして、真実の姿が少しずつ見えてくるように感じた。(~後略)

プロフィール

中神 哲二(なかがみ てつじ)
1951年、石川県生まれ。
1956年、自衛隊少年工科学校入校。以降、主に北海道の舞台で勤務。
2006年、定年退職。

上記内容は本書刊行時のものです。