手稲山紀行 早川 禎治 著
定価:¥1,500+税
ISBN4-931204-95-3  C0026
四六判/396頁/並製
[2000年4月刊行]

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【電子書籍版は下記書店から 希望販売価格:¥800+税2000

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概 要

札幌市の西方にそびえ、多くの市民に親しまれている手稲山(タンネウェンシリ)は著者が学生時代から親しんだかけがいのない山である。’93年春札幌に戻った著者は、登山家でもあり、登山道や林道だけでなく、谷から稜線へあるいはヤブから山頂へと手稲山の登山を極めつくしている。しかし、一大レジャーランドと化し、自然破壊も極まった山の姿を見た著者は、傷ついた手稲山の声なき声を聞き、人間の理不尽さに抗議している。

目 次

第1章 手稲山(タンネウエンシリ)
  1 いま、なぜ手稲山か
  2 山頂からテレビ塔を撤去せよ
  3 12ヵ月の山行を記録して

第2章 沢や屋根をめぐって
  春 春の西峰
  発寒川源流からタンネウエンシリ北面へ
  西壁南ルンゼ
  発寒川登山道
  永峰沢溯行
  一喜一憂・一遊一休
  夏 滝の沢溯行
  発寒川源流 岩田の沢
  秋 三樽別川溯行
  中の川源流
  ケルンまで
  冬 雪の発寒川林道
  追分川下降
  ネオパラから発寒川へ
  北尾根

第3章 タンネウエンシリの12ヵ月(1996年)
  1月 地吹雪
  2月 冬尾根
  3月 縦走
  4月 カムイシロン
  5月 奔流
  6月 花の旅
  7月 ハマナシとハクサンチドリ
  8月 二峰西面のハンノキ
  9月 山頂のテレビ塔
  10月 紅葉
  11月 冬山ふたたび
  12月 深雪

第4章 タンネウエンシリから発寒川に沿って
  山頂へ
  平和から山の手へ
  ふもと橋にて
  溯上するサケ
  新川から旧石狩川へ
  ここは石狩か札幌か
  旧石狩川合流点で考えたこと
  発寒川の水質について

第5章 タンネウエンシリ考
  1 自然
  2 発寒場所
  3 山名考
  4 山岳破壊
  5 登山小史

あとがき
参考文献

本文より

※あとがきより抜粋
(前略)
 ぼくはこの四四年間北の山ばかりでなく地球上のあちこちの山や谷を彷徨して来たけれどこうした自然が劇的に崩壊していくのを目の当たりにする。それも音をたてて、という実感なのである。
このタンネウエンシリにしてもそうした地球上の現在の中にある。これだけはけっして間違いのない事実である。そんな思いがぼくをしてこの山の惨状について書かしめた。
 こういうことをいうと現状を少し悲観的にみすぎるのではないのかという人が必ず現れる。しかしこういう方には、わが冒頭の写真をとくと眺めてみることをおすすめする。
 よく、ごらんになってほしい。
 これが山か。鉄塔の乱立する山頂部はかつて人々が神聖なるものとして朝な夕な拝していた場所なのであろうか。
(中略)
 いままでの日本は山岳地帯を神聖なる場所としてこれをけがすことを恐れた人びとによって作られてきた。しかし、ミレニアムといい二一世紀到来といい必死の形相のコンピュータ人間はこの世をさらに作り変えるのだという。
 どちらの人間に未来はひらかれているのであろうか。たとえば現代人と縄文人とを比較してみる。どちらが人間としての営為をはずれることなく幸せの中にいたことか。人としての魅力はどうか。
 そんなことを考えながらこの書を読んでくださればありがたい。
(後略)

プロフィール

早川 禎治(はやかわ ていじ)
1939年、北海道生まれ。北海道大学卒業。日本山岳会会員・第二次野帳同人。
(著書)『知床記』『後方羊蹄山登攀記』『ネパールの花』『手稲山紀行・傷ついた自然の側から』

上記内容は本書刊行時のものです。