978-4-89115-283-3近藤 雄一郎 著
定価:¥4,571+税

ISBN978-4-89115-283-3  C3035
A4判/276頁/並製
[2013年8月刊行]

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概 要

本書は、運動学習理論や教授学的理論からアプローチした科学的な指導理論の構築を目的とし、初級者及び中級者を対象とする大回転種目の指導理論を展開。運動のメカニズムや構造の分析などをもとに技能レベルを区分した後、指導理論に基づいた教授プログラムを作成した。実施された実験授業とその結果から、指導理論の課題と展望を考察、報告している。

目 次

はじめに

序章
 第1節 課題の所在
 第2節 本研究の目的と方法

第1章 アルペンスキー競技における技術・戦術
 第1節 スキーにおけるターン運動のメカニズム
 第2節 スキーのターン運動における局面構造
 第3節 アルペンスキー競技の技術的特質
 第4節 アルペンスキー競技における技術・戦術構造
 第5節 アルペンスキー競技大回転種目における技術の質的発展構造と技能レベル区分

第2章 アルペンスキー競技大回転種目における初級者及び中級者を対象とした指導理論
 第1節 指導目標
 第2節 指導内容
 第3節 教材の順序構造
 第4節 教授の方法
 第5節 授業の評価
 第6節 アルペンスキー競技大回転種目における初級者及び中級者を対象とした教授プログラム

第3章 アルペンスキー競技大回転種目における初級者及び中級者を対象とした実験授業
 第1節 実験授業の概要
 第2節 実験授業の結果及び考察
終章
 第1節 本研究のまとめ
 第2節 本研究の成果
 第3節 今後の課題と展望

補章 運動学習における認識と習得―主として運動学習における認識的側面の位置づけに関して―
 第1節 体育科教育における認識問題に関する先行研究の成果と課題
 第2節 運動学習における「わかる」と「できる」に関する諸問題
 第3節 運動学習における認識過程の意義
 第4節 運動学習における認識内容
 第5節 運動学習における認識方法
 第6節 運動学習で形成すべき認識能力本書の引用・参考文献一覧

あとがき

本文より

まえがき
 2006年にトリノ(イタリア)で開催された第20回冬季オリンピックのアルペンスキー競技男子回転競技において、日本人選手2名が入賞したことは記憶に新しい。また、近年日本人選手がワールドカップや世界選手権で入賞を果たすなど国際大会で活躍することにより、アルペンスキー競技がメディアに取り上げられるようになり、再度脚光を浴びつつある。しかし、景気後退や少子化などの影響を受け、日本国内のスキー人口は90年代以降減少の一途を辿っている。このスキー人口の減少に比例するように、アルペンスキー競技者も年々減少してきているのが現状である。
 全日本スキー連盟(以下SAJ)は、文部科学省によるスポーツ振興計画に基づき、公認スポーツ指導者制度(SAJコーチ制度)を2008年にスタートした。このコーチ制度は、「ジュニア期からトップレベルに至るまでの一貫した理念に基づき最適な指導を行う一貫指導システムの構築」及び「指導者の養成・確保(専任化の促進等)」を目標としている。したがって、競技者の母集団が小さくなっている現在の日本アルペンスキー競技界において、より多くの世界で活躍することのできる優秀な選手を輩出するには、各技術レベルに応じた普遍的で統一性のある系統的な指導理論を確立し、それらを指導者間で共有することができるようにしなければならない。
 また、これまで各国のスキー連盟や指導者が書籍や専門誌の中で指導論を展開しており、多くの指導者がそれらに学び指導を行っているのであるが、アルペンスキー競技の技術・戦術指導に関する学術的研究は管見の限りみることができない。書籍や専門誌の中で展開される技術・戦術指導に関する課題として、「技術や戦術の相互関連や全体的構造が明らかにされていないこと」や「練習ドリルについては紹介されているが、指導内容や練習方法については体系的に示されていないこと」などが課題として挙げられる。加えて、書籍や専門誌の中で展開される指導論は、紙面の関係上詳細な解説はされておらず、多くの場合各指導者の解釈と経験により指導が委ねられる結果となっている。
 そして、我が国におけるアルペンスキー競技指導の現状については、的確なアドバイスや指導法を実践し、優秀な選手を多数輩出する優れた指導者は多く存在するのであるが、このような指導者による指導方法は、高い競技実績や長年の指導経験に基づく指導方法である場合が多く、どのような指導者でも追試・実践することが困難であることが課題として挙げられる。
 以上のようなアルペンスキー競技の技術・戦術指導に関する現状を改善するためにも、運動学習理論や教授学的理論からアプローチした科学的なアルペンスキー競技の指導理論を構築する意義があると考える。本研究では、アルペンスキー競技における滑降・スーパー大回転・大回転・回転の4種目の中から、大回転種目を対象とした指導理論を展開する。その理由は、大回転種目は他の種目とも共通する多くの技術的要素を含んでおり、アルペンスキー競技の中で基本となる競技種目と位置づけられているためであり、大回転種目における指導理論を明らかにすることで、技術系種目である回転や、高速系種目である滑降やスーパー大回転の指導理論の構築に発展的に繋がっていく可能性があると考える。 (~後略~)

近藤 雄一郎

プロフィール

近藤 雄一郎(こんどう ゆういちろう)
1983年 群馬県に生まれる
2006年 北海道浅井学園大学(現:北翔大学)生涯学習システム学部 卒業
2008年 北海道大学大学院教育学研究科教育学専攻 修士課程修了
2012年 北海道大学大学院教育学院 教育学専攻 博士課程修了
現 在 北海道大学大学院教育学研究院 専門研究員
学位:教育学博士(北海道大学)

上記内容は本書刊行時のものです。