ƒ978-4-89115-269-7矢島 睿 著
定価:¥1,200+税

ISBN978-4-89115-269-7  C0065
A5判/242頁/並製
[2012年11月刊行]

order-1

order-3

概 要

“旅”と“歴史”と“鉄道” その懐かしき姿…
「長く生活文化の研究に携わってきたものとして、庶民の側からみた鉄道旅行をまとめたものです。身近な歴史文化を明らかにすることは、今後の北海道の生活文化創造につながるものと信じております。」(矢島由紀子「あとがき」より)

目 次

はじめに

第Ⅰ章 駅は時代とともに

 1 鉄道の発達と駅舎
  北海道の鉄道駅
  停車場と駅舎
  北海道の主要鉄道駅 ─開業と駅舎の変遷
   札幌駅
   函館駅
  鉄道あれこれ■コラムⅠ スタンプ備付駅
   室蘭駅
   小樽駅
  鉄道あれこれ■コラムⅡ 駅ホームの洗面所
   岩見沢駅
   旭川駅
  鉄道あれこれ■コラムⅢ 電報取扱駅
   釧路駅
  北海道の駅舎
  鉄道あれこれ■コラムⅣ 駅名表と名所案内標、伝言板
 
 2 旅行中の接客サービス
  手荷物運搬人(赤帽)
  旅客携帯品一時預入れ(携帯品の一時預り)
  手荷物と小荷物
  賃貸軽便枕と助板
  救急箱と病客車
  人力車
  ハイヤー
  靴洗器と靴磨き
  鉄道の発達 列車の所要時間の変遷
   開業以降
   明治後期から大正・昭和初期
   戦後の昭和20年から今日まで
 
Ⅱ章 汽車に旅情が漂う
 
 1 汽車の運行
  列車の発車合図
  汽車の乗り方と乗客のマナー
  車内照明
 
 2 寝台車と食堂車・車内販売
  寝台車
  食堂車
  車内販売
 
 3 列車暖房(タコストーブからスチーム暖房へ)
  石炭ストーブ
  ダルマストーブとタコストーブ
  蒸気暖房(スチーム暖房)
  乗客の利用を中心とした車輌及び列車の記号番号
   車輌の形式番号
   列車番号
 
Ⅲ章 汽車旅行全盛の頃
 
 1 時間表(時刻表)と鉄道記号表記の変遷
   時刻表の歴史
   時刻表を中心とした列車旅行関係記号表示
   列車の等級と表示
 
 2 鉄道による北海道旅行計画と観光地の変遷
   鉄道遊覧旅行の普及
   大正時代から昭和初期の北海道遊覧地めぐり
   戦後の鉄道観光旅行
   最近の観光旅行と鉄道
   北海道汽車博覧会
   汽車博覧会の開催地と日程
   陳列用の列車と展示陳列の内容
   開催地での設備及び準備状況
   開催地での余興
  絵葉書で見る北海道の駅と街の風景
 
Ⅳ章 鉄道が街を、食をつくる
 
 1 駅構内販売〈1〉郷土銘菓、みやげ、名産品
  駅構内売店の商品
   煉化餅
   大沼だんご
   花園だんご
   旭豆
   バナナ饅頭
  戦後の駅売り販売
   トラピストバター・クッキー
   あかんまりも羊羹
   まりもの古里羊かん
   池田バンビキャラメルなど
   ハッカ菓子
   ひとつ鍋
  海産物、郷土民芸品
 
 2 駅構内販売〈2〉駅弁の立売り
  明治から太平洋戦争の時代まで
  駅弁のはじまり
  名物弁当の販売のはじめ
  この時代の名物駅弁
   やまべずし
   石狩鮭めし(石狩鮭弁当)
   戦時の時代と駅弁
  この時代の名物駅弁
   いかめし
  戦後の昭和20年から今日まで
  1950年代の駅弁
  この時代の名物駅弁
   かにめし
   いか弁当
  1960年代の駅弁
   この時代の名物駅弁
   洋ずし
   桜飯、釜めし
   ジンギスカン弁当
  1980年代以降の駅弁
 
 3 鉄道の発達と旅籠・旅館の変遷
  近世松前・蝦夷地の旅人宿(旅籠)
  鉄道の開業と駅前旅館
  札幌の建設と初期の旅館
  旭川、帯広、北見の駅と旅館
   旭川の旅館
   帯広の旅館
   北見の旅館
  函館、小樽、室蘭の港と駅、旅館
   小樽の旅館
   函館の旅館
   室蘭の旅館
  小樽、旭川、札幌におけるホテルの建設
  駅に関するエピソード
   1.駅ネコ
   2.北海道難解駅名
   3.風変わりな名の駅
   4.アイヌ語地名を駅名とした駅

本文より

はじめに
 明治初期に、日本各地で鉄道建設が進められたが日本各地と北海道では、建設の目的に大きな異なりがあったといえる。北海道の鉄道建設は開拓を進めるための手段であり開拓に関わる物資輸送や日本近代化のための石炭輸送をすることに主眼があった。
 一方日本各地の鉄道建設は、物資輸送も重要な事業であったが乗客の輸送を目的として建設された。従って他の鉄道と競合する場合集客のための方法として乗客サービス、派手な広告、乗車割引きなどが生まれている。例えば明治21年に創業した山陽鉄道は官設鉄道の東海道線や瀬戸内海航路と客が競合するため客の争奪戦から新しい乗客サービスをはじめている。急行列車や寝台車、食堂車を日本で最初に取り入れたのもこの会社であった。
 この点で言えば、北海道の鉄道は、開通後一般乗客にも利用を許したが乗客サービスはほとんどなく駅員の態度も不遜なものであったといわれている。 それでも明治39年鉄道国有法、函館線開通、青函航路国有化によって北海道線も全国的な営業に組み入れられる。それは同時に北海道の鉄道が乗客輸送を重視しそれ以降乗客サービスを取り入れていった。従ってこの時代以降の北海道にも本州と同様の乗客サービスが行われ、大正から昭和の初期にかけて急行列車はもとより寝台車、食堂車も導入されるようになり全国的な鉄道経営の中に組み込まれていった。
 北海道の鉄道の歴史はそのまま北海道の近代史として重要な部分であったと いえる。だが、これまで北海道の鉄道旅行を道民の側から考察したものはいたって少ない。全国的な鉄道ブームの時代にこの本を出版できることは、大きな喜びである。

プロフィール

矢島 睿(やじま さとし)
昭和11年9月13日生まれ。
国学院大学で民俗学、日本史学を学ぶ。
昭和42年北海道百年記念事務局に入り、北海道開拓記念館開設準備に従事。開館後、学芸員、事業部長を経て退職。その後も、民族学研究多数残す。
平成22年8月急逝。

【著書】
『北海道の祝事』明玄書房、『北海道の葬送・墓制』明玄書房、『北海道の研究 第7巻 民俗、民族編』清文堂出版

上記内容は本書刊行時のものです。