978-4-89115-161-4田中 厚一 著
定価:¥1,200+税
ISBN978-4-89115-161-4  C095
四六判/222頁/並製
[2007年3月刊行]

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概 要

読書が人生という時間をどれだけゆたかにしていくのか―
もっともっと可能な限り本を読み、そんな非日常的な体験を繰り返したいと思った。
読書は、時間が豊かで美しく輝くからこそ素晴らしい。(帯文より)

目 次

読書の神様
 読むことの誘惑~甘美なひととき/なつちゃん
 身体/恐怖の花/優しい地/出無精/約束
 おいしいね/いい仕事/出会い/ひとあわ
 悪夢/勝負/へん/お馬鹿さん/友情
 斬り/大切な場所/まね/純愛/教養
 お土産/遊び上手/美と感動/一生をかけて
 厚さ/気をつけて/善と悪/ふれあい/世代交代
 はいチーズ/同期/会える/長男/ドキドキ
 底なし/身びいき/忘れ得ぬ/つば
言葉は永遠
 書くことの愉楽/サンタさん/質/救世主/夫婦/叫び/戦士
 孤独/痛み/父と娘/朝起きて/無償の愛/尊厳/手紙
 上を向いて/ときめき/勘弁して/復活/誰のために
 しょうもない/輝ける風景/待つ/気は心/案ずるより
 いやだ/幸運/校歌/ジーパン/鏡の中/偏食/弁当
 気がつくと/神隠し/ゲームの味方/語り継ぐ/安らぎ/弱さ
 つないだ手/真っ暗/固定観念/必死さ/怖い人/血
 響く言葉/気楽/宝箱/復権/安心/だめづくし/信心
 ずっと前/瞬間/テレビっ子/秘密の空間/叱る/責任とれ
 ミル/自己管理/寄り道/癖/お化け/素顔/歴史旅の始まり~〈あとがき〉にかえて

本文より

 国文学者として専門用語を駆使し、研究論文を書き続けてきた。一般の人たちとは無縁な世界。その〈ムラ〉の住民にだけ分かれば良い。そう思って文章を書い てきた。一方で、一般の愛好者にむけた文章教室での添削講評をよく頼まれた。「文章は短めに」「読者に配慮して」「推敲が命」などと、どっかの文章読本に あるような評言で、えらそうに語る自分がいた。しかし、解説すればするほど「じゃあ、おまえの文章はどうよ」とささやくもう一人の自分がいたわけだ。「僕 の専門はエッセーじゃなくて、文学だから。僕、書き手じゃないし」と弁解すればするほど、居心地は悪くなるばかりだった。
 平成15年の暮れ、十勝毎日新聞から編集余録の執筆依頼を受けた。長続きしないと思った。ネタはつきるだろうし、そもそも自分の文章が不特定多数の読者 に受け入れられるとはあまり思えなかったからだ。ただ、今まで格好つけて話してきた内容を実践しようと思った。それが、今まで私の 話をメモを取りながら熱 心に聞いてくれた人たちへのせめてもの仁義だと感じたからだ。
 初めて書いたのが「サンタさん」(本書92P)。論議があったという。当然だ。今までのこの種の欄の常識を無視した?原稿だったからである。掲載可との こと。正直、十勝毎日新聞社の懐の深さに感じ入った。それから、だ。色々な書き方をしてみた。テーマや素材を使って、自分なりに様々な工夫を試みた。どう ずれば、楽しく最後まで読んでもらえるか、どう書けば、共感を得ることが出来るのか、を必死に考えてみたのである。
 この仕事で、私は文章を書く奥深さと罪深さを知った。書く面白さと怖さと言っても良い。活字になる責任、そして愉悦。はまり込んでしまったら抜け出すこ となどもう不可能のようだ。ならば、行き着くところまで行くしかない。そこに何があるのか確かめてみたいと思う。本書はその旅の始まりに過ぎないようだ。 (「あとがきにかえて」より~後略)

プロフィール

田中 厚一(たなか こういち)
1959年、稚内生まれ。北海道大学大学院博士課程後期課程中退。
1987年、帯広大谷短期大学国文科専任講師。2000年、同大学教授、現在に至る。文学博士。
<著書>「雨月物語の表現」

上記内容は本書刊行時のものです。