”’ 斉藤 俊彦 著
定価:¥1,400+税
ISBN978-4-89115-271-0  C0039
四六判/304頁/並製
[2012年11月刊行]

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【電子書籍版は下記書店から 希望販売価格:¥800+税

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概 要

馬橇、競馬、祭り……
かつて江別にあった〈馬のいた暮らし〉を、エピソードとともに振り返る。~「帯文」より~

目 次

口  絵
はじめに

第一章 仕事の仲間
 第一節 馬橇と湯たんぽ
 第二節 客土とマンボ名人
 第三節 工場で 森で
 第四節 ゴミとし尿収集

第二章 競馬と軍馬
 第一節 江別競馬のはじまり
 第二節 馬政計画のこと
 第三節 戦争と軍馬
 第四節 競馬から鍛錬会へ
 第五節 帰らなかった馬たち

第三章 お祭りと供養
 第一節 デンピン検査の話
 第二節 村祭り 輓馬大会
 第三節 馬の死と相互扶助
 第四節 馬頭さま 観音さま
 第五節 家畜屠場の話

第四章 俺にまかせろ 仕事師
 第一節 こげた臭い 装蹄師
 第二節 馬喰さん ご苦労さん
 第三節 お忙しや 種付師
 第四節 馬具屋さん がら職人
 第五節 山四つ星 車橇職人
 第六節 まちの獣医さん

第五章 いまも 街なかで
 第一節 トラクターに逐われて
 第二節 ポニーと息子たち
 第三節 秋祭り 神輿渡御
 第四節 乗馬で初詣
 第五節 絵馬 美女の願い

あとがき
巻末資料
写真・図表一覧
参考文献

本文より

あとがき
 着想を得てから、もう六年になる。本書は題名が示すように、江別をおもな舞台として馬と人々の暮らしとの関わりについて書いた。取材を始めた頃、時折『ウマって、あの馬ですか?』と聞き返されたことがある。それも無理のない話だろう。今や街なかを歩いていて、馬をみかけることなど皆無に等しい。それは、競馬場や乗馬牧場など特別な場所でなければ見ることのできない、時間的にも空間的にも遠い存在となってしまった。

 だが、時空をほんの少しさかのぼってみるだけで、どこにもかしこにも馬の姿とにおいがあった。そこでは人間同士にも義理人情の彩りがあり、ゆったりとした時の流れがある。おおらかで、のびのびとし、寛容の精神にあふれている。
 それにくらべて、現い代まはあまりにもせっかちに物事が進みすぎている。窮屈で、ぎすぎすとし、冷酷なまでに弱者の切捨てが横行する社会。『日本はいったい、いつからこんな国になってしまったのか。』というセリフをどこかで聞いたことがあったっけ。
 私が悲しく思う世相のひとつに、元日の初売りという比較的新しい慣習がある。元日くらい、家でミカンをたべ、年賀状に目を通し、ことし一年の計画に思いを巡らし、ゆったりと過ごせないものか。大多数の人が休みとなる年末年始に出勤しなければならない人を増やし、家族団らんの幸せを奪った無節操な経営者は、誰なのだろう。
 澄みわたった秋空の下、ゆったりと馬が草を食はむ。そんな〈馬のいた風景〉に、せめて気持ちの持ちようだけでも戻れないものか。また、最近は食育ということばも耳にする。私たちの食生活は、生きとし生けるものの犠牲のうえに成り立っていることを噛みしめながら、感謝してゆっくりいただくのが食育の基本だと思う。家畜屠場の話はそんな気持ちも込めて書いた。
 本書を読んで、何十年も頭の片隅にしまい忘れていた昔の記憶が呼び覚まされ、なつかしさとともに共感していただけたなら、幸いである。自身は、馬車追いと呼ばれた小運搬業の動静を盛り込めなかったことが心残りであるが、それはまた別な機会に譲ることとする。
 おわりに、取材や調査でご協力をいただいた多くの方々に心からお礼を申し上げたい。特に、元上司でもある藤倉徹夫氏には、本書執筆のきっかけを与えてくださったうえ、内容の構成から文章表現まで懇切なご教示をいただいた。また、中西出版の河西博嗣氏と中西印刷の藤井雅之氏には出版にあたって適切なご助言をいただいた。ともに深く感謝申し上げる。

プロフィール

斉藤 俊彦(さいとう としひこ)
1958(昭和33)年 江別市生まれ
1982(昭和57)年 北海道大学文学部を卒業し、江別市職員となる。
1992(平成4)年 総務部市史編さん担当スタッフとなり、平成7年まで「えべつ昭和史」の編さん事業に従事。
2006(平成18)年 ユベオツ選書協力同人となる。
2008(平成20)年 教育委員会教育部学校i教育課参事
2011(平成23>年 教育委員会i教育部郷土資料館長 現在に至る。
著書に「家系譜・七ッ松利三郎」(私家版、平成元年)

上記内容は本書刊行時のものです。